バイクインプレ日記

VT250FE(1984)インプレ

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もう手に入れられるかどうかも分からんモノのインプレなんか書いてどうするんだって話もあるんだけど、まあ何かの参考になれば。

 

乗ったシチュエーション

車検の代車で1泊2日借りた。市街地、ワインディング、高速全て走った。

 

ポジション 取り回し

この頃のバイクにありがちなタンクが長くてハンドルが遠いポジション。今乗ってるXJR1300と同じくらい遠いんじゃないかしら。ハンドル位置は高いので前傾はそんなに強くない。

足つきは良好。当時女性に支持されたのもよく分かる。

取り回しは、重そうな鉄製の2本出しマフラーとかからも分かるように、今のバイクみたいにマスが集中してない感じで、250にしては重い。多分MT-09の方が軽い。まあ車重も167kgと重めだしね。

 

エンジン

当時、打倒RZを掲げて、ホンダが社運をかけて開発したエンジンだけあって、下から上までよく回る。最近流行りのニンジャ250とかYZF-R25あたりの2気筒250スポーツより確実に速い。40馬力は伊達じゃない。40PS/12500r.p.m.、2.3kg-m/11000r.p.m.とピークパワーとピークトルクの発生回転数が近い、上に行くほど伸びる特性。だからといって下がないわけじゃない。2000回転以上なら低速でもアクセルに全然ついてくる。さすがに同排気量の4気筒よりは上の伸びは悪いけど、100km/hくらいまでならいい勝負するんじゃないかな。

1982年の初代VT250FCから2017年のVTR生産終了まで実に35年も使い回されたんだから、いかに最初から完成度が高かったかって話だ。

残念なのは各ギアが若干ワイドな設定になっているところ。もう少しクロスしてると加速が途切れなくていいのにと思う。

 

ハンドリング

フロント16インチは切れ込んで乗りにくいってよく聞くけど、特にそういうことは感じなかった。初代のVT250FCは切れ込んだらしいけど。

ただ寝かし込みにちょっとクセがあって、普通のバイクはある程度寝かせば自然とスピードとバンク角の釣り合いが取れてバランスするのに対して、このバイクはどんどん寝てっちゃって、どっかで寝ていくのを止める動作が必要になる、そんな印象だった。

あと、常識的な速度で走ってる分にはそこまで気にはならないんだけど、フロントの接地感がちょっと薄い気がした。フロントタイヤがちょっと遠い位置にある感じがするっていうか。

エンジン同様、ホンダ入魂のインボードディスクは効きもフィーリングもダメ。ついでに見た目もドラムブレーキみたいでダメといいところなし。水が入ると抜けなくてさらに効きが悪くなるらしい。

 

まとめ

色んな革新的技術が取り入れられてて、高度成長期ほどではないにせよ、まだまだ右肩上がりだった日本経済の好調さを感じさせるバイクだ。当時を知る身としては、今の各メーカーのカタログに載っているラインナップの少なさに寂しくなってしまう。もうあんな時代は来ないのだろうか(来ないだろうなあ)。

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頸椎ヘルニア

僕は頸椎ヘルニア持ちである。調べるとバイク乗りにけっこう多いみたいで、これのせいでバイクに乗るのを諦めた人もいるみたい。実際、バイク乗車中が一番痛くて、一番の楽しみの時に一番痛いって、何かの天罰かよ、チクショー。

 

1年に1回くらい症状が出るんだけど、今回は3週間くらい前から症状が出てて、ようやく薬が効いてきて多少軽くなってきたところ。ひどい時は痛みで寝られないし、痛くて何も考えられないから1週間仕事を休んでしまった。通勤のカブにも乗れないし。 

 

普段は、あ、これ来そうだなって時にトラムセットっていう薬を飲めば2、3日で良くなるんだけど、今回はダメだった。やっぱ歳なのかな。嫌だね、歳とるってことは。

 

症状としては、頭を上に向けた時の右の腕、親指、人差し指にかけての激痛。ひどくなるとどんな姿勢でも常に痛みがある。

 

オペで良くなる人もいるけど、仕事柄(理学療法士)良くならない人もたくさん見てるからなあ。お笑い芸人(?)のキンタローはオペして治ったらしいけど。ネプチューンの名倉がオペして術後に鬱っぽくなっちゃったって最近ニュースになってたな。

まあ、お医者さん曰く、片方の腕の痛みだけならだいたい薬飲んで経過観察でOKとのこと。

 

予防法はあんまりないんだけど、強いて言えば背筋を伸ばして姿勢を良くすることらしい。確かに常にうつむき加減だもんな。これじゃ姿勢だけじゃなくて運勢も悪くなるやね。まあしっかり背筋伸ばして、人生も前向きにやっていきましょ。

【追記】

記事を書いてから一ヶ月、今はほとんど症状はない。今回はトラムセットだけでは乗り切れず、リリカと併用することで良くなった。なんか再発するたび薬が効かなくなっている気がするが、やっぱり歳のせいか。

【追記2】

この記事を書いてから約2年半経つ2022年4月16日現在、再発はしていない。ただトラマールという薬を規定量の半分程度常用している。特に副作用はない。

【初心者向け】シングルなのに低速トルクがない?

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長いので結論から先に言うと、低速トルクがある=低速でスムーズってわけじゃないよって話です。

 

はじめに

よく単気筒や2気筒は低速(低回転)トルクがあると聞いたのに、実際乗ってみたら低速でギクシャクする、という話を聞く。例えば↓みたいに。

質問者はSRで2速10km/hでギクシャクする(質問者はノッキングと言っているが)と書いているが、これがCB400SFであればそんなにギクシャクすることはないだろう。何故低速トルクが太いと言われるSRの方がギクシャクするのか。それはSRが単気筒でCBが4気筒だからである。

 

なぜ単気筒はギクシャクするのか

4サイクルエンジンは、単気筒の場合クランク軸が2回転(720°)するごとに1回爆発する。下の動画が分かりやすい。

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これが四気筒エンジンの場合、クランク軸が2回転する間に4回爆発するのである(詳しい理由は省略)。エンジンは爆発によって力を得るので、爆発の間隔が短いほど力が途切れにくい。単気筒は1回の爆発力は大きいが、爆発と爆発の間隔が長い。4気筒は1回の爆発力は小さいが爆発の間隔が短い。1速や2速で10km/h程度で走る場合、大してエンジンの力は要らないから、1回の爆発力が弱くてもたくさん爆発してくれる方が粘りが出る(失速しない)。逆に1回の爆発力が強くとも間隔が長いと、次の爆発までの間に失速してエンスト気味になることもある。

また1回の爆発力が大きいということは、アクセルを開けるとその瞬間ドンと前へ出るということであり、そしてこのドンと出るということが「トルクがある」ということである。

低速でアクセル開ける→ドンと前に出る→次の爆発まで間隔があるからエンスト気味になる→プラグに着火して爆発する→ドンと前に出る、という繰り返しだからギクシャクするのである。あえて誤解を恐れずに言うなら、低速トルクがあるからギクシャクするのである。

高回転になれば、単気筒でも爆発間隔が短くなる(エンジン回転数1000回転なら1分間に500回爆発、5000回転なら1分間に2500回爆発することになる)ので、ギクシャクしなくなる。

 

低速での粘りとクランクマスの関係

また低速でギクシャクするかどうかはクランクの重さも大きく影響する。クランクとは上の動画で回転している半円形の部分である。この部分が重いと低速でギクシャクしにくい。

例えばこんな風にスタンドを立てた自転車のタイヤを手で回すことを想像してほしい。

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(出典https://blogs.yahoo.co.jp/wdwwq181/55639926.html

この自転車の車輪なら簡単に手で回せるし、タイヤをつかんで止めることも簡単だろう。ところがこの車輪が仮に100kgくらいあったらどうだろう?回すのにすごく力が必要になるはずだ。そしていったん勢いがついてしまったら止めるのにもやっぱりすごく力が必要になるだろう。要するに慣性力が大きくなるから、回すのも止めるのも大変になるわけだ。

これをエンジンに当てはめるとどうなるか。自転車の例で車輪に相当するのがクランクである。クランクが重いと動かすのに大きな力が必要になる。ということはアクセルを開けてもドンと強く車体を前に進めることができなくなる。逆に止めるのも大変になるからアクセルオフでもエンジンブレーキの効きが弱くなる。だからアクセルを開けた時にモサっとしか前に出なくなり、アクセルを閉じた時には急激なエンブレがかからないから、アクセルに対する反応が悪い代わりにギクシャクしにくい特性になる。

一般的に言って同じ排気量なら単気筒より4気筒の方がクランクが重い。これが単気筒より4気筒の方がギクシャクしにくいもう一つの大きな理由である。ちなみにSRは単気筒の中ではクランクが重く低速でも扱いやすいのだが、上の質問者さんは初心者みたいだからね。

 

他にもキャブレターやインジェクションのセッティングとかギア比とか圧縮比とか色んな要素があるんだけど、長くなるのでこの辺で。

 

以上、極めてざっくり書いたので、詳しい人にとっては突っ込みどころ満載だと思うけど、その辺はご容赦を🤲

Vストローム250(2019)インプレ

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乗ったシチュエーション

MT-09に乗ったのと同日にレンタルバイクにて約1時間、椿ラインとターンパイク(箱根伊豆連絡線)、箱根新道といういつものコースで試乗。気温は4℃と低く、タイヤのグリップはあまり良くない状態だった。

 

取り回し ポジション

189kgと250にしてはかなり重めだが、跨って揺すってもさほど重いとは感じない。押し引きしてもハンドルがちょうどいい高さで、力を入れやすいため割と軽く感じた。

ポジションはややアップライトなネイキッドといった印象。アドベンチャースタイルのバイクはハンドル幅が広いものが多いが、こいつはごく普通。高速道路で長距離を走るのにも、ワインディングでスポーツするのにも対応できる万能ポジションだ。

ハンドル切れ角は小さくはないんだけど、キャラクターからするともうちょっと大きい方がいいかな。

足つきは250としては平均的。身長180cmで両足裏が全部ついて、なおかつけっこう膝が曲がるくらい。

 

 

エンジン

今時珍しいロングストロークのエンジンは低回転で粘りがあって渋滞路のような極低速で扱いやすいうえに、高回転もスムーズに回る。2気筒エンジンというと、ともすればガサツな回り方をするというイメージがあるかもしれないが、そのご指摘はこのエンジンには当たらない(菅官房長官風)。高回転ではまるでマルチに乗ってるのかと錯覚するほど吹け上がりがいい。24馬力しかないSOHCとは思えない。ちなみに24馬力というとちょっと前に乗ったSRと同じだが断然こっちの方が速い。まあタイプの異なるものを比べるのもどうかと思うが。

ところでこのバイク、イメージとは裏腹にかなりのクロスミッション。おかげでシフトアップしても回転が落ち込むことなく加速が途切れない(先述の吹け上がりの良さもこのギア比によるところが大きい)。またシフトダウン時もエンブレが効きすぎないので車体姿勢を乱しにくい。ただその反面、全体的にローギアードで回転が上がりがち。トップ8000回転で80キロくらいなので、高速道路での巡航はちょっと疲れそうだ。

 

ハンドリング

舵角のつき方は、オフ車ほどではないが、極めて控えめ。低速でも穏やかにハンドルが切れてくるから、Uターンのような小路旋回もやりやすい。

寝かし込みは重心がやや高めなのか、ゆったりとしている。クイックではないが、安心感がある。

こういう安心感のあるハンドリングだから、初見の見通しの悪いワインディングでも、速くはないかもしれないが走りやすい。いや、そういう条件であれば、クイックで神経質なバイクより速いかもしれない。

アドベンチャースタイルだが、ポジションはごく普通のネイキッドなうえに、ベースはGSX250Rだからハングオフで走っても違和感がないが、リーンウィズで上体だけすこしアウト側に残した乗り方が一番しっくりくる。

189kgという巨体に対して片押し2ポットキャリパー+シングルディスクというブレーキシステムはなんだか頼りなさそうだけど、街中、ワインディングで安全マージンをとった走りをするうえでは、特に不足は感じなかった。コントロールはしやすいし、及第点だと思う。

 

まとめ

大きな欠点のないバイクである。街中でよく見かけるのも頷ける。強いて欠点をあげるとすればローギアードであるが故に高速巡航で回転が上がってしまうことぐらいか。しかし逆に言うと突出したアピールポイントがないとも言える。同日に乗ったのがMT-09というエキサイトメントを売りにしたバイクだったからなおさらかもしれないが、なにか一つ訴えかけるモノがあればもっと良かったかな。

【追記】

https://mtc.greeco-channel.com/suzuki/v-strom250_ds11a_gear/

このサイトもなかなかすごい。これ見ると上に書いた通り3、4、5、6速がけっこうクロスしてるのが分かる。

トップ時速100キロの時はトップで7410回転になってるけど、実際の感覚としてはもうちょい回ってる気がする。

 

MT-09(2019)インプレ

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乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて約1時間、椿ラインとターンパイク(箱根伊豆連絡線)、箱根新道といういつものコースで試乗。気温は4℃と低く、タイヤのグリップはあまり良くない状態だった。

 

取り回し ポジション

ハンドルはかなり幅広で近い。ステップ位置は低めでけっこう後ろ気味。モタードをコンセプトに取り入れたとのことだが、確かにそんな感じ。最初跨った時はちょっと違和感を感じたが、ワインディングでは非常にコントロールがしやすかった。タンクの形状も良くて太もものフィット感がいい。最近のヤマハはタンクの形状がみんないいね。シートが硬めで長距離は厳しいかもしれないけど、荷重がしやすいし車体からのフィードバックが得やすいので個人的には好み。

足つきは、シートが前方に行くに従って絞られているのでかなり良好。同じ日に乗ったVストローム250と同じくらい。

車重が軽いうえにマスが集中しているので跨って揺すってみてもかなり軽い。MT-07よりはちょっと重いけど、これまたVストローム250と同じかむしろ軽いくらい。押し引きもタンクとシートの間のくびれが体にフィットすることもあって250並。

 

エンジン

低速から粘りがあり、2000回転も回していればアクセルに十分ついてくる。本領発揮は5000回転くらいからで、そこから大きくアクセルを開ければ猛烈に加速する。

モードA、STD、BとありモードAが最も過激でモードBが一番おとなしめ。モードBとSTDはそんなに変わらない印象だったが、モードAのレスポンスは凄まじく、ちょっと大袈裟に言えば路面のギャップで僅かに右手が動いただけでもドンと前に出る感じ。公道で使い切れる自信は全くない。体感的には今まで乗った全てのバイクの中で最も過激だった。

そういうエンジンだからゆっくりトロトロ走るのは苦手かと言えば意外とそうでもなくて、モードBかSTDであれば40キロくらいで車の後ろをついていってもそんなに退屈ではない。ほぼ同じエンジンのNIKENの時は一定の速度で走るのには向いてないなと感じたのに不思議だ。こっちの方がレスポンスがいいのに。

 

ハンドリング

今まで乗ったバイクの中で1、2を争うほど楽しいハンドリングだった。

寝かした時の舵角はけっこう明確につく方だが、切れ込むわけではなく、Uターンのような小旋回でも、イン側の手で押さないとバランスが取れないようなことはない。個人的にはあんまり舵角がつかない方が好みなのだが、このバイクは例外。寝かした時のハンドルの切れてくる早さ、切れる角度が絶妙なので、腰で意のままにハンドルを操れる感じなのだ。

また寝かし込みも軽い。軽いといっても不安定な感じは一切なく、安定感がベースにある上での軽さ。この感触は名車と言われた'90NSR250にどこか通ずるものがある。雑誌等のインプレでは400ccなみの軽さなんて評されるけど、400cc4気筒ネイキッドよりは明らかに軽い。かつてのCBR400RR等の400レプリカと同じくらいではないだろうか(もう乗ったことのある人はほとんどいないだろうが)。

剛性の高そうなアルミフレームと倒立フォークは、兄弟車のMT-07と比べるとやや硬さを感じさせ、個人的な好みで言うともう少し柔らかくてもいいかなと思わなくもないが、この硬さがハンドリングのダイレクト感につながってるのだろうし、SSに比べればずっとしなやかだ。

サスは初代はオフ車のように動くなんて言われてたけど、現行モデルはそこまでではない。確かにリアは割とよく動くかなと思うけど、フロントはネイキッドとしてはごく普通の硬さだと思う。アクセルのオン・オフでピッチングが大きすぎることもなく、荷重コントロールがしやすい。

今回は椿ラインを上り下りしたが、こういう先の見通しが悪く、細かいカーブが多い道はこのバイクが最も得意とするステージだろう。大袈裟なハングオフをしなくとも、拳一つ程度身体をオフセットして体重移動すればスイスイ曲がってくれるのだから。ほとんどの人にとってSSよりも速く走れるはずだ。ストロークの長い脚は荒れた路面でもよく追従してくれるので、初見ならなおさらである。

 

まとめ

今、いろんなバイクを試乗してるのは次期購入バイク選定のためで、次に買うとしたら、もう歳だしまったりのんびり楽しめるやつがいいかな、なんて思ってSRなんかも試乗したりした。だからMT-09は購入候補というよりは、もののついでというか、オマケ程度のつもりで乗ったんだけど、価値観が変わった。やっぱりバイクにエキサイトメントは必要だ。まったり走るのも悪くないけど、僕の中にまだ高揚感を求める心があることに気づかされた。

それにしてもMT-09はネイキッドとモタードを融合させるという、同じカテゴリーに属するバイクがない唯一無二のバイクだと思う。このご時世にこういう創造的、革新的なことをやっちゃうヤマハ、すごいぜ。

NIKEN(2019)インプレ

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乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて2時間試乗。市街地とワインディングを半々程度に走った。気温は20℃くらいでタイヤのグリップは良かったと思うけど、このバイクにはそういうのあんまり関係ないかも。

 

取り回し ポジション

大柄だが、マスが集中してるのか、意外と取り回しは軽い。今乗ってるXJR1300より軽く感じるくらい。

フロント周りがでかいが、乗ってみても同様な印象で、まるで車に乗ってるみたい。当然すり抜けは無理。

ポジションはハンドルがかなり幅広でやや近め。上半身だけだとちょっとモタードっぽいかも。ステップはやや低めのネイキッドという感じ。タンクの形状が良くて太ももで挟みやすい。

足つきは最悪。ライディングにちょうどいい位置に座るとシートの幅が広すぎて、そこから両足を下ろすと身長180cmで足指のつけ根くらいまでしかつかない。シートの前が絞られてるので目一杯前寄りに座れば多少マシになるもののそれでも踵は浮いちゃう。片足でもお尻をずらさないとベタ足で着くのは無理。シート高が高いっていうよりシート幅の影響が大きい。コーナーリングでシートから荷重するには好都合なんだけどね。唯一救われるのは重心が低いからグラっとはこないこと。今回初めて足つきに困るという体験をして、小柄な人が大きなバイクに乗るのにいかに困難があるか、少し分かった気がする。

 

エンジン

実は3気筒エンジンに乗るのは初めて。2気筒と4気筒の中間のような特性ってよく言われるが、どっちかっていうと4気筒に近い印象を受けた。ツキのいい4気筒って感じで、昔乗ってた’02のR1に似てる。等間隔爆発だしね。

モードが3つあって3が一番穏やかで1が最もツキがいい。モード3だと全閉からの開け始めのレスポンスが悪すぎて、交差点を曲がる時なんかにアクセルについてこなくておっとってなることがある。市街地ではモード2が乗りやすい。

クランクが軽くてレスポンスのいいエンジンは一定の速度で走るのが苦手。低回転から粘りがあって扱いやすいんだけど、アクセル一定だとつまらなくてつい加速したくなるっていうか、ちょっと急かされるような感覚がある。

中〜高回転の吹け上がりは猛烈で、たとえモード3でも7000回転以上を使いこなすのは、少なくとも僕の腕では公道じゃ無理。モード1に設定して直線で大きくアクセル開けてみたんだけど、この巨体を弾丸のように加速させる。体感的には'02R1より強烈な加速だった。

 

ハンドリング

普通の二輪と変わらない。フロント二輪を感じさせるのは停止直前の極低速でやたら安定してるってことくらい。あんまり安定してるからそのまま足出さないで止まれるんじゃないかと思うくらい(本当にそうなら便利なのに)。

操舵感覚自体は普通の二輪となんら変わるところがないんだけどフロントの接地感は絶大で、何があってもフロントから逝くことはない気がする。実際に下の動画みたいにリアが相当流れる状況でもフロントは安定してるから(10:35あたり)、素人が乗ってフロントからスリップダウンさせることはほぼ不可能だろう。


NIKENのLMW機構とウェット路面のスライド走り@伊豆サイクルスポーツセンター|丸山浩の速攻バイクインプレ

これもすごい。


ヤマハ ナイケンにタイヤチェーンを装着して雪道を走ってみた!

舵角は割と大きくつく方だけど、切れ込むわけじゃない。ちゃんと必要な分だけ切れて止まる節度のあるもの。イン側の手で押さえないとバランスがとれないなんてことはない。

サスは前後とも硬くて、特にフロントは全然動いてないんじゃないかと思うほど。だからけっこう突き上げは感じる。

寝かし込みは車重相応に重さを感じるもので、XJR1300あたりのリッターネイキッドと同じような感じ。椿ラインみたいな細かいカーブが続くワインディングを軽快に走るのは苦手かもしれないけど、伊豆スカイラインみたいな大きなカーブが多い道では、安定感に身を任せて大きな体重移動でダイナミックにマシンを操る楽しさがある。

 

まとめ

一言で言えばフロントに絶大な信頼のあるツアラーって感じか。何度も言うけどこのフロントのグリップ感は半端なく、車重が70kgも軽いMT-09とサーキットでのタイムがほとんど変わらなかったってのも分かる気がする。


NIKEN=ナイケンでサーキットを全開走行してみた

ただすごく贅沢を言うと、せっかく新しいテクノロジーを導入したのだから既存の二輪とは違う、誰も体験したことのないような新しいハンドリングを見せてほしかったなとは思う。まあそれだけ違和感のない二輪のハンドリングを実現してるってことなんだけど。

とにもかくにもヤマハすこいぜ。

【初心者向け】バイクが乗りにくいと感じたら

最近バイクが乗りにくい気がする、下手になったのかな、そんな風に感じているアナタ、是非この記事を読んでバイクをチェックしてみてください。バイクの不調がハンドリングの悪化に繋がってるのかもしれない。うまく乗れない原因は、アナタじゃなくてバイクにあるのかもよ。

 

タイヤの空気圧低下

ハンドリング絡みで一番多い不調の原因はなんと言ってもコレ。前回いつ空気圧チェックしました?半年に1回とか、ひどいと車検の時にしか見ないなんて人もいるみたいだけど、1ヶ月に1回は確認しよう。バイクはタイヤが2つしかないから、空気圧が下がると如実にハンドリングが悪化(切れ込んだり、寝かし込みが重くなったり)するんだけど、徐々に減ってくから意外と気づかないんだよね。なんか乗りにくいと思ったらまず空気圧の確認。バイクによっては0.2下がるだけでもけっこうハンドリングに影響するから。減ってたら規定値まで入れよう。その際、エアゲージはちゃんとしたものを使おう。できれば3000円以上のものが望ましい。安いヤツはすぐ狂っちゃうから。まあそれでもチェックしないよりはマシだけど。

タイヤの摩耗・劣化

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これも多い。上の写真を見てほしい。XJR1300のフロントタイヤなんだけど、新品の右と比べて、左は中間あたりが減って尖った形になっちゃってるのが分かると思う。こうなると切れ込んじゃうし、グリップ感はないしでものすごく乗りにくくなる。これも空気圧と同じで徐々に変化するから体感だと気づかないこともある。だから新品に変えるとその激変ぶりに驚いたりね(特にフロント)。

左の写真、サイドはもうスリップサインが出かかってるんだけど、センターはまだ残ってる。でもこうなったらもう交換。もったいないって思うかもしれないけど、乗りにくいバイクで走っててもつまらないし、なにより危険だ。それと山は残ってても劣化して細かいヒビが入ってるような場合も、グリップはものすごく低下して、ハンドリングも悪化してるから要交換だ。

サスのセッティング

これは市販車だと相当極端にいじってもそこまで乗りにくくはならないんだけど、フロントのイニシャルが全抜き、リアが全締めなんてなってると流石にちょっとって感じ。乗りにくかったら一度標準に戻してみましょう。まあでもタイヤの空気圧低下とか摩耗に比べりゃ影響は小さいな。

ステムアジャストナットの締めすぎ

普通はいじることないし、勝手に締まったりもしないんだけど、中古で買った場合なんかはたまにあったりする。僕も過去に2回経験してる。

詳しくはググっていただきたいんだけど、トップブリッジの下にステムアジャストナットっていうのがあって、基本的にはガタつかない程度に緩いのが良くて新車ではそういう風にトルク管理されてるんだけど、中古だと何故か締めすぎちゃってるのがある。で、これが締めすぎちゃってると真っ直ぐ走ってるだけなのに妙に不安定で肩に力が入っちゃったり、寝かすと一気に倒れ込んできて怖かったりする(何でそうなるかは長くなるから割愛)。

これは初心者では発見することも調整することも難しいと思うので、バイクに詳しい先輩かバイク屋さんに聞いてみて下さい。まあ、そういうことが稀にあるってことだけ知っておいていただければ。

 

ステムベアリングの劣化

フレームとアンダーブラケット、トップブリッジの間にステムベアリングってのがあるんだけど、これが劣化すると直進安定性が低下したり、寝かし込んでいくと急に切れ込んだりする。ブレーキをかけた時にトップブリッジの下あたりからコツコツと音がするようになったら怪しい。そこまでいかなくても走行距離が30000キロを超えるような多走行者だと交換するとフィーリングがかなり変わることもある(保管方法とか乗り方によって摩耗具合が変わるから一概には言えないんだけど)。これも初心者が自分でチェックするのは難しいのでバイク屋さんでどうぞ。

 

以上、ハンドリングに影響する不具合について書いてみた。初心者では手が出せない部分もあるけど、普段バイクのメンテしない人は、タイヤの空気圧のチェックだけでもやってみてほしい。バイクがびっくりするくらい乗りやすくなるから。

【追記】

こちらがいいこと言ってるので貼っときます。よかったら見てね。

 

切れ込むハンドリング

サクッと対処法を知りたい方はこちら↓

 

 

はじめに

主には低速域でだけど、切れ込みの強いバイクは、日常域での扱いやすさを重視する僕としてはどうにも好きになれない。イン側の手で強く押さないとバランスしないようなバイクは単純に乗りにくい。片手でもUターン楽々くらいが個人的には好み。こういうの↓低速で切れ込むバイクじゃ絶対できないですよ。


こういう話をすると↓みたいに「下手だからセルフステアを活かせてない」とか「ハンドルが切れてくるのを活かして深く寝かさず曲がれ」みたいな筋違いな批判をする奴が湧いてくるわけだけど、

そういう連中にX-4で上の動画みたいなことできるのかよと小一時間(以下略)。ということで切れ込むハンドリングについてちょっと考えてみる。

 

切れ込むバイク具体例

今まで乗ったことのあるバイクで切れ込むヤツを具体的に言うと、まずX-4。今まで乗ったことのあるバイクでダントツNo.1の切れ込み。交差点ひとつ曲がるのも大変。

初代R1、FZS1000フェーザー、TRX850、初代Z1000も低速ではけっこう切れ込んでくる。

意外なところでは初代CB400SF(NC31)とVTスパーダ。これは当時の雑誌インプレで辻司さんとか宮崎敬一郎さんも言ってたから間違ってないと思う。

まあどれもアクセルを開ければニュートラルになるんだけど、寝かし込みの過程でハンドルに力を入れなきゃいけないってのは気持ちよくない。

あと、同じバイクでもコンディションによって全然違うこともある。例えば僕が乗ってるXJR1300は基本的には素直なハンドリングなんだけど、フロントタイヤが減ってくるとまあまあ切れ込んでくる。空気圧が低くても同様。0.2くらい低いとけっこう違う。気温が低かったりしてもダメ。タイヤの状態に影響されやすいバイクなんだと思う。こういうタイヤの状態にハンドリングが大きく左右される傾向は、車重が重くてタイヤが太いバイクほど顕著な気がする。いま通勤で使ってるカブなんか空気圧が半分でも、タイヤが減って台形になってもほとんどハンドリング変わらないからね。

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フロントタイヤが左のように摩耗してプロファイルが変わると、重いバイクは著しくハンドリングが変化する

切れ込まないバイクは?

逆に切れ込まないバイクはどんなバイクだろうか。フロントが大径、タイヤが細い、軽量、なバイクは経験的に比較的切れ込みが少ない。例えばオフ車。オフ車で切れ込んで困るってのはまずない。逆にオンロードで乗ると切れなさすぎてやや不自然に感じることはあるけど。オンロードバイクでもこの3つの条件を満たすほど切れ込まないバイクである可能性は高いと思う。

言い換えると、切れ込む、切れ込まないに大きく関与してくるのはフロント径、タイヤ幅、車重ってことになりそうだ。ただ似たような車体構成のバイクでも全然ハンドリングが異なることがあるから困る。例えばVストローム650とSV650くらい車体構成が違えば、Vストの方が切れ込む可能性は低いだろうって予想つくけど、初期型R1と’02R1じゃ車体構成を表す数値では殆ど差がない(少なくともフロントタイヤが17インチから18インチになったりはしてないわけで)にも関わらず、ハンドリングはびっくりするほど違う。同じような車体構成にも関わらずハンドリングが違うってことはカタログスペックじゃ判断しようがないのだ。

セッティングで対処できるか

さて、ハンドルが切れ込む場合、セッティングでどうにかなるのだろうか。経験的には多少は変わるけど、根本的にはそのバイクの元々持ってるキャラクターで決まっちゃうと思う。昔CB400SFに乗ってる時にハンドリングが気に入らなくて、XJR400みたいにしたいと思ってサスをWPに交換してセッティングしたり、タイヤを変えたりその他色々やってみたんだけどそんなには変わらなかった。

一応、セッティングのセオリーとしてはフロントを高くしてリアを低くするって方向になるんだろうけど、それが常に正解とも言えないのが難しいところ。例えば昔乗ってた’02R1は、フロントタイヤが減ってきて少し切れ込みが出てきたなと感じたときに、フロントのイニシャルを締めてやる(前上がりにする)と多少ごまかせた。ところが今乗ってるXJR1300で同じことをやるとかえって切れ込みが強まっちゃう。キャスター、トレールだけじゃなくて重心の位置とか色々な要素が絡み合ってそうなるんだろう。

それから乗り方によって対処する方法もあるとは思う。ハングオフみたいにイン側に身体をオフセットして乗れば、ハンドルが切れて起きようとする車体とバランスが取れるけど(ハンドルが切れるとバイクは起きようとする)、いちいち交差点曲がる度にハングオフってわけにもいかないだろう。うまい人だと切れ込んでくるのを活かして寝かさずクルッと回れるみたいだけど、それもバイク任せで曲がるみたいで個人的にはあまり好みじゃない。

 

まとめ

結局そのバイクが切れ込むかどうかは乗ってみないと分からないわけだ。雑誌等メディアのインプレも、ああいうのはだいたいメーカーからお金もらって書く宣伝みたいなものだからあんまり当てにならない。本当はそういう部分もしっかりレビューしてもらいたいんだけど。そういう意味では最近メーカーや販売店が試乗を積極的に行うようになったのはいい傾向だと思う。

とにもかくにもバイクのハンドリングは乗ってみなきゃ分からないので、もし購入を検討している車種があるならレンタルバイクなどでお金を払ってでも乗ってから決めることをお薦めする。

 

追記

ジムカーナーで人気がある車種はだいたい切れ込まず乗りやすいですね。あの競技は低速でのハンドリングが悪いとタイムが出ないから。ジムカーナーで人気のバイクを選べばハズレは少ないです。

追記2

続編を書いた。

 

 

Vストローム650(2019)インプレ

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乗ったシチュエーション

SV650Xを試乗した同じ日にレンタルバイクにて1時間試乗。コースはSV650Xと同様、椿ラインとターンパイク(箱根伊豆連絡線)、箱根新道。気温は10℃以下とかなり低かった。

 

取り回し ポジション

大柄だけど取り回しはさほど重くない。

跨ってみるとハンドル幅がかなり広いが、ハンドル位置は近く高めなのでさほど大柄には感じない。ステップも前後、上下ともちょうどいい位置にあり、長距離でも疲れないニュートラルな乗車姿勢だ。

またスクリーンがいい仕事をしていて、60km/hくらいでも十分防風効果を感じる。これまた長距離のライディングには大きなメリットとなろう。

足つきは180cmで両方の踵が少し浮くくらい。この手のバイクにしては足つきはいい方なのではないだろうか。

 

エンジン

SV650Xとほぼ同じはずだが、なぜかこちらの方が高回転でのダルさを感じない。速く走るバイクじゃないという先入観からこのくらいでいいやと思うからだろうか。いずれにしろこちらの方がSVよりエンジンとバイクのキャラクターのマッチングが良いような気がする。

こいつにもローrpmアシストというのがついていて低回転時のエンストを減らしてくれるようだが、そういうシチュエーションで走らなかったのであんまり良くわからなかった。

 

ハンドリング

フロント19インチのタイヤによって舵角のつき方はどんな場面でも穏やか。どっちかというとバンク角に依存する曲がり方。リーンの速度はゆっくりで、重心の高いものが倒れていくようなややオフ車的な感じ。舵のつき方もリーンもマイルドなので安心感があり、乗り手の大きなアクションを許容する(逆に言えば割と大きなアクションが必要とも言える)。こうした特性は低速でも高速でも終始変わらない。こういうハンドリングは個人的には軽い体重移動でも曲がってしまうようなバイクよりも好み。椿ラインみたいなクネクネと視界の悪い低中速コーナーが続くような道では、アップライトなポジションが効いて、恐怖感なくけっこう速く走れる。ただ惜しむらくはシートが柔らかくてコーナーリング中シートからの荷重感覚を感じにくいこと。まあバイクのキャラクターからしてそこは仕方ないところか。

ブレーキは片押し2ポッドキャリパーのダブルディスクだけど、コントロールしやすくて絶対的な制動力も十分。同じブレーキシステムなら、フロントタイヤの径が大きくなるほどブレーキは効きにくくなるからどうかなと思ったんだがまったくの杞憂だった。

 

まとめ

一言でいうと万能バイク。どこを走っても大きな不満がないという感じ(もちろんサーキットとかガレた林道とかは除いて)。小柄な人にはちょっと車格が大きいと感じるかもしれないけど、BMWのGS1250あたりと比べれば全然小さい(排気量が違うから当たり前だけど)。250のアドベンチャーでもVersysなんかはかなり大柄だから、あの辺とはさほど変わらない感覚で乗れると思う。良くできたバイクです。キャラクターがぜんぜん違うから比較するのもナンセンスかもしれないけど、SV650Xとどっちって聞かれたらこっちを選ぶかな。

それにしてもSVの時にも感じたんだが、10℃以下のかなり厳しいコンディションだったにも関わらず、どんな場面でもハンドリングが変わらないというのはすごい。タイヤの性能が上がったというのもあるかもしれないが、それだけじゃない、サスとか車体設計の進歩を感じた。

SV650X(2019)インプレ

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乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて約1時間、椿ラインとターンパイク(箱根伊豆連絡線)、箱根新道にて試乗。気温は10℃以下とかなり低かった。

 

取り回し ポジション等

サイドスタンドをはらうためにバイクを起こすと思ったより重い印象。跨って揺すってみてもやはり印象は変わらない。ライバルと思われるMT-07と比べるとかなりどっしりしている。とはいえ200kgを切ってる車重だから絶対的な重さは大したことはない。あくまで当初イメージしていたよりはちょっと重いかなという程度。

ポジションは、久しぶりに乗るトップブリッジ下にセパハンのついたバイクということもあって、かなり前傾が強く感じた。正確に言うとハンドルが低いというのもあるが、遠いという感じか。80年代の400ccレプリカを思い出させる。コーナーではリーンウィズでも乗りやすいけれど、やっぱりハングオフした時の方がマシンとの一体感があってしっくりくるし、体重移動もしやすい。やや硬めで荷重がかけやすいシートも良い。

足つきは180cmの僕が乗ると両足裏がべったり、なおかつ少し膝が曲がるくらい。シート幅が狭いのでそれが足つきに貢献している。

 

エンジン

3000~6000回転くらいがトルク感があって気持ちがいい。6000~9000回転くらいはスムーズだけどいまいちトルク感がなくて、なんとなくダラっと回っている感じ。低中速での加速感から高回転でのトルクの盛り上がりを期待させるんだが、なんかそれが裏切られて、あれ?という感じになる(実際はMAXトルクが8100回転で出てるからそんなはずはないんだが、体感的には)。この辺はMT-07の方が上から下までフィーリングが変わることなく回る印象。ただMT-07と比べるとアクセルの開け始めのドンツキ感が少なく、また閉じた時もエンブレがやや穏やかなのでギクシャクしにくい。これは日常使いでは大きなメリットだと思う。

 

ハンドリング

寝かし込みは割と手応えがある。それとフロントにSSみたいなどっしり感があって、前傾姿勢と相まってかなりフロント荷重な印象。そのためかフロントにはすごく接地感があって安心感がある。舵角は割と大きくつくタイプ。舵角がさほど積極的につかないMT-07とは対称的である。でも低速でも切れ込むわけではなくて一定のところできちんと収まる。どんなペースで走ってもそういう傾向は変わらない。今回試乗したシチュエーションは気温が10℃以下と低く、タイヤの温まりも悪かったはずだけど、そういう厳しい条件でも、低速コーナーでも中高速コーナーだろうと、上りだろうと下りだろうと舵のつき方が変わらない。これはなかなか凄いことだと思う。今自分が乗ってるXJR1300だと走る条件によってハンドルの切れ方が全然違うからね。

サスペンションやフレームはやや硬め。けっこう高い速度域を想定しているのだろう。この辺も柔らかいサスとフレームで、比較的低い速度域でのクイックさとか快適さを狙ってるMT-07とは対称的。

総じてなかなかスポーティーというかそれなりにスピードを出したときに真価を発揮するハンドリングだと思う。だからといって街乗りなどのさほど速度が出ない領域でも乗りにくいわけではなく、うまくまとまっていると思う。

 

まとめ

よくMT-07と比較されるけど、MT-07よりはかなりスポーティーな線を狙っているのではないだろうか(少なくともハンドリングは)。そうであるが故にどうもエンジンの高回転域でのトルク感のなさが気になる。このバイクのキャラクターづけからすれば、もう少し高回転型にエンジンの味付けを振っても良かった気がする。

なんかMT-07とエンジンだけ交換すればお互いのキャラクターにもっとぴったり合うんじゃないだろうか。

【追記】

 過去に乗ってた’07SV650のインプレはこちら。

tomatoimp.hatenablog.com

SR400(2019)インプレ

 

 

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乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて4時間、市街地、高速、ワインディングと満遍なく走った。真夏日だったのでタイヤのグリップは良かった。

 

取り回し ポジション等

取り回しは、178kgという車重から想像するよりは重い。多分、今のバイクみたいにマスの集中化が進んでないんだろう。

ポジションはちょっと独特。外見から感じるよりはハンドルが低く手前にあり、垂れ角が大きい。それに対してステップはかなり前方。最初は戸惑ったけど慣れれば妙にしっくりくる。街中を走る時などはとても楽。でもワインディングをそこそこのペースで走った時は、もう少しステップが後ろの方がマシンの抑えが効きやすいし、コントロールもしやすいと感じた。

足つきは、車体が細いこともあって180cmだと足裏べったり+相当膝も曲がる。小柄な人でも足つきに困ることはないと思う。

 

エンジン

ビッグシングルということでドンと出るかと思ったが低回転でもトコトコとマイルド。多分クランクが重いからだろうけど、アクセルに対するツキが良すぎず、エンブレも効き過ぎないので扱いやすい。2000〜4000回転くらいがこのエンジンの一番「らしい」ところ。不快な振動もなくのんびりパルス感を楽しみながら走れる。アクセルに対するツキが(比較的)いいのは4000〜6000回転くらいで、元気よく走るならこの回転域を使うことになるんだが、この領域は振動が凄まじくなる領域でもある。バランサーのないエンジンは、ハンドル、ステップ、シートとあらゆる所にけっこう高周波な振動を発生させる。正直、最初は堪らんと思ったが、不思議と1時間くらい乗ってるとそんなに気にならなくなった。もっと乗り込むとこれが「味」に感じられるんだろうか。そうは言っても高速道路を連続1時間以上走るのはキツイ。うろ覚えだけど時速80キロで5速4500回転くらいだから、ちょうど振動が強くなる辺りなのだ。

ところで、キックでの始動だが、これはそんなに大変じゃない。FIになって最適な混合気を送り込めるようになったのが大きいんだろうが、デコンプを使わなくても(むしろ使わない方が簡単に)キック2回くらいでかかる。コツは右足に全体重をかけること。左のステップから足を離して全力で踏み込む。体重が軽い人だとちょっと大変かもしれんけど、標準的な成人男性なら困ることはないはず。

ハンドリング

ハンドリングこそがこのバイクの一番の美点ではないかと個人的には思う。前後18インチのタイヤは市街地の交差点のような極低速で曲がる時も切れ込んだりせず、とてもナチュラル。舵角はあまり大きくつかないのでバンク角は深くなりがち(すぐステップ擦っちゃう)だけど、ホイールのジャイロ効果が大きいのか安定感があるので、安心して寝かし込める。軽快ではないけど、個人的には視線を送る程度の軽い体重移動でどんどん曲がっちゃう今のバイクより好み。かと言ってオフ車のように舵角がつかなすぎるうえに、重心の高いものがユラっと倒れる感じでもなく、ちょうどいい塩梅。今時のバイクのつもりでアクセル開けると、思ったより外にはらんでしまい、おっとっとっとなるけど、しっかり体重移動して寝かし、そこからシートにドンと荷重してやれば大丈夫。どういうわけか、フロントにすごく安定感があるのでそういう操作も安心してできる。まあ速く走るのには向かないかもしれないが、公道で常識的なペースでもマシンを操ってる実感を得られるという意味では、最適解に近いんじゃなかろうか。

ただサスは柔らかめだし、フレームの剛性も僕でも分かるほど低いので、首都高のカーブのようなそこそこスピードの出るコーナーを走るとなんか車体がユラユラとよじれるような感じはする。いや真っ直ぐ走ってても高速でギャップ踏んだりするとよれるかな。まあそれ以上スピード出そうとしたり、ビビってバイクを起こそうとしたりしなければどうってことはないんだが。

あと、ブレーキも握った分だけ効いてコントロールはしやすいんだが、絶対的制動力は低いから無理な突っ込みはNG。70年台の車体設計だから、コーナー手前でしっかり減速という教習所で習うような基本が求められるのだ。

 

まとめ

SRというとファッションバイクというイメージがあったけど、そうじゃなかった。走る楽しみも十分担保されてる基本に忠実なバイクだった。単なる懐古趣味じゃここまで長く生産を続けることはできなかったろう。

バイクとしての基本を押さえたうえで、もう少しブレーキをどうにかしたいなとか、サスの吸収性を高めてコーナーリング性能を上げたいなとか思えば、カスタムパーツはどの車種よりも多いんじゃないかと思うほどたくさんのメーカーから様々なものが出ている。カスタムの方向性もファッション重視でも走り重視でもいける。

基本的にどんな人が乗ってもその人なりに楽しめるバイクだと思う。初心者にももちろん取っつきやすいし、上級者でも限界の低いバイクを上手く操る楽しみがあると思う。

売れ続ける理由が分かった気がする。

インプレを記すにあたって

はじめに

僕が雑誌やネットでバイクのインプレ記事を読んでていつも不満に思うのは、

「どんなレベルの人が」

「どんなシチュエーションで」

乗っての印象なのかよく分からないこと。これらが異なれば同じバイクに乗ったって感じ方は違ってくるはず。

 

ライダーのレベルについては、雑誌の記事であれば元レーサーとか、ある程度の上級者だと思うんだけど、素人のネット記事だとその辺が全然分からない(まあサーキット走行の記事とかがあって、タイムが書いてあったりするとおおよそ察しはつくけど)。たまに「限界域でのコントロール性が」とか書いてるのに、端が余りまくった後輪の写真載せてる人がいると、意地悪く「本当に分かってんの?」とか思ってしまう。もちろんライダーのレベルが高ければいいって話ではなくて、初心者には初心者にしか感じられない感覚もあるし、それが素直に書かれていればそれはそれでとても貴重なインプレだと思う。

その試乗記事のハンドリングの評価は、試乗したライダーのライディングスキルの場合、という但し書きが必ず付くことを忘れないでください。

まさに上記記事の通りで、走るシチュエーションと評価者の力量は明示されないインプレ記事なんてなんの参考にもならないと思う。

 

僕のライディングレベルについて

ということで自分自身について記したい。自己紹介で書いたとおりバイク歴は30年。けっこう色々なバイクに乗ってきたと思う。一時期筑波のファミリーライセンスでサーキット走行をしてたことがあって、タイムは足廻り以外ノーマルのCB400SF(NC31)で13秒台がギリギリといったところ。はっきり言ってあまり速いとは言えない。だから限界域での挙動とかは正直分からない。膝すりくらいはできるけど、進入ドリフトとかストッピーとかトリッキーなことはできない。

ミニバイクレースは、ホームにしてたサーキットのHPでタイムランキングに載ったからまあまあだと思う。

オフも乗ってた時期があって、それなりにガレた林道とかも行ったけれど、いつも仲間には置いてかれてた。

総じて言えば中級者という感じだろうか。

 

走るシチュエーションについて

さて次は走るシチュエーションについて。どんな場所でどんな風に乗ったのかはそのバイクごとに異なるので、それぞれで記していこうと思う。

ただ重要視するのは圧倒的に日常での使い勝手。市街地とか、法定速度での高速とか、中低速のワインディングを車の後ろにくっついて走るとか。なぜならサーキットにトランポで持ち込みでもしない限りどんな人でもそういった状況で走ることが一番多いと思うから。峠でのカーブ2つ3つでの快楽を得るために他を全て犠牲にしていいっていう人もいるかも知れないが、多くの人はそうじゃないと思う。

だから公道のおける現実的なシチュエーションでの、上記のようなレベルのライダー(自分)の感覚を中心にお伝えしたいと思う。それが、例えばバイク購入の際の参考になったりすると幸いである。

自己紹介

はじめまして。キバタローです。

バイク歴30年を超えたアラフィフです。所有したバイクも30台超、現在の愛車は2015 年式MT-07です。

若いころはミニバイクレースに出たり、筑波のファミリーライセンスでサーキット走行をしてたこともありました。ちなみに筑波でのタイムは足廻り以外ノーマルのCB400SF(NC31)で13秒台ギリギリってところでした。

また林道ツーリングにはまってた時期もあって、XR200のエンジンに載せ替えたXL200Rで伊豆の林道にでかけたりしてました。

今は近場へのまったりツーリングがメインです。

そんな平均よりちょっとバイク好きな程度の素人ライダーですので、膝すりくらいはできるけど、限界域での挙動とかは正直よく分かりません。なのでインプレを書くといっても雑誌に出てるプロライダーみたいなことは言えないです。ただ、自分も含めてバイクに乗るほとんどの人が素人なわけで、同じ素人目線でのインプレッションをお届けできればと思っております。そしてそれが何かのお役に立てば(例えばバイヤーズガイドとして)大変うれしいです。

なお不遜に聞こえるかもしれませんが、身長180cmなので足つきに関してはあまり困ったことがありません。そのため足つき性に関してはあまり正確な表現ができないかもしれませんが、その点はご容赦ください。

それからインプレの表記に関しましては基本的に「である調」で記したいと思います。ちょっと偉そうに感じるかもしれませんが、事実を記すには「ですます調」より「である調」の方が適していると思うので、これもご理解いただければと思います。

以上、よろしくお願いいたします。

 

【今までに所有したバイク】

NS50F(89)、CBX125F(86)、CBR250RH(87)、RG125γ(93)、CBR400RR(93)XJR400(93)CB400SF(92)TZR250(87)、RZ50(84)、TDM850(98)、XJR1200(96)、FZ400(97)、CBR250RR(90)、VT SPADA(88)WOLF250(88)FZR1000(88)YZF-R1(02)、DJEBEL200(96)、XL200R改(84)、CB400SF改(92)、NS250F(84)、ジェイド(91)、バリオスⅡ(97)、NS50Fレーサー仕様(年式不明)、KSR80(96)、SV650(07)XJR1300(98)XJR1300(00)スーパーカブ90(95)、ディオ(04)、MT-07(15)