乗ったシチュエーション
レンタルバイクにて4時間、市街地、高速、ワインディングと満遍なく走った。真夏日だったのでタイヤのグリップは良かった。
取り回し ポジション等
取り回しは、178kgという車重から想像するよりは重い。多分、今のバイクみたいにマスの集中化が進んでないんだろう。
ポジションはちょっと独特。外見から感じるよりはハンドルが低く手前にあり、垂れ角が大きい。それに対してステップはかなり前方。最初は戸惑ったけど慣れれば妙にしっくりくる。街中を走る時などはとても楽。でもワインディングをそこそこのペースで走った時は、もう少しステップが後ろの方がマシンの抑えが効きやすいし、コントロールもしやすいと感じた。
足つきは、車体が細いこともあって180cmだと足裏べったり+相当膝も曲がる。小柄な人でも足つきに困ることはないと思う。
エンジン
ビッグシングルということでドンと出るかと思ったが低回転でもトコトコとマイルド。多分クランクが重いからだろうけど、アクセルに対するツキが良すぎず、エンブレも効き過ぎないので扱いやすい。2000〜4000回転くらいがこのエンジンの一番「らしい」ところ。不快な振動もなくのんびりパルス感を楽しみながら走れる。アクセルに対するツキが(比較的)いいのは4000〜6000回転くらいで、元気よく走るならこの回転域を使うことになるんだが、この領域は振動が凄まじくなる領域でもある。バランサーのないエンジンは、ハンドル、ステップ、シートとあらゆる所にけっこう高周波な振動を発生させる。正直、最初は堪らんと思ったが、不思議と1時間くらい乗ってるとそんなに気にならなくなった。もっと乗り込むとこれが「味」に感じられるんだろうか。そうは言っても高速道路を連続1時間以上走るのはキツイ。うろ覚えだけど時速80キロで5速4500回転くらいだから、ちょうど振動が強くなる辺りなのだ。
ところで、キックでの始動だが、これはそんなに大変じゃない。FIになって最適な混合気を送り込めるようになったのが大きいんだろうが、デコンプを使わなくても(むしろ使わない方が簡単に)キック2回くらいでかかる。コツは右足に全体重をかけること。左のステップから足を離して全力で踏み込む。体重が軽い人だとちょっと大変かもしれんけど、標準的な成人男性なら困ることはないはず。
ハンドリング
ただサスは柔らかめだし、フレームの剛性も僕でも分かるほど低いので、首都高のカーブのようなそこそこスピードの出るコーナーを走るとなんか車体がユラユラとよじれるような感じはする。いや真っ直ぐ走ってても高速でギャップ踏んだりするとよれるかな。まあそれ以上スピード出そうとしたり、ビビってバイクを起こそうとしたりしなければどうってことはないんだが。
あと、ブレーキも握った分だけ効いてコントロールはしやすいんだが、絶対的制動力は低いから無理な突っ込みはNG。70年台の車体設計だから、コーナー手前でしっかり減速という教習所で習うような基本が求められるのだ。
まとめ
SRというとファッションバイクというイメージがあったけど、そうじゃなかった。走る楽しみも十分担保されてる基本に忠実なバイクだった。単なる懐古趣味じゃここまで長く生産を続けることはできなかったろう。
バイクとしての基本を押さえたうえで、もう少しブレーキをどうにかしたいなとか、サスの吸収性を高めてコーナーリング性能を上げたいなとか思えば、カスタムパーツはどの車種よりも多いんじゃないかと思うほどたくさんのメーカーから様々なものが出ている。カスタムの方向性もファッション重視でも走り重視でもいける。
基本的にどんな人が乗ってもその人なりに楽しめるバイクだと思う。初心者にももちろん取っつきやすいし、上級者でも限界の低いバイクを上手く操る楽しみがあると思う。
売れ続ける理由が分かった気がする。