バイクインプレ日記

CRF1100L アフリカツイン(2020)インプレ

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乗ったシチュエーション

普段は箱根のレンタルバイクで1時間借りて試乗してるんだけど、今回はレンタル819のキャンペーンを利用して8時間たっぷり試乗。高速5割、ワインディング3割、市街地2割くらい。気温は24℃でタイヤの温まりに問題なし。絶好のツーリング日和だった。

 

ポジション 取り回し

さぞかし足つき性が悪いんだろうと思っていたら身長180cmで両足べったり+膝に余裕あり。シート高が830mmと810mmで選べるのだが、おそらく810mmになっていたんだろう。足つき性にまったく不安はなかった。160cm台の方でも足つきはなんとかなるだろう。

 

ポジションとしてはアドベンチャーらしくハンドルが高く幅が広い、堂々とした乗車姿勢。スタンディング姿勢も取りやすい。ステップ位置はシートが低いためかやや高めでなおかつけっこう前寄り。シフトやギアのペダルがスタンディングにも対応できるようにかなり上向きにセッティングされてるが、慣れればどうということはない。

 

シートは思ったより硬めでコシがあるが、このくらいの方がフニャフニャなシートより長距離でもお尻が痛くなりにくい。

 

リーンウィズでもハングオフでもどんな乗り方も許容する万能ポジションだが、多少上半身をリーンアウト気味にした方がシートに荷重をかけやすい。

 

車重が226kgもあるので取り回しはそれなりに重いが、同じ程度の重さのXJRなど4気筒ネイキッドに比べればマスが集中しているので軽く感じる。

 

エンジン

1100ccもある2気筒はどれほどトルクの塊かと思ったが、そこまで手強さはない。もちろんトルクは太いのだがアクセルに対するツキが過敏ではないし、トルクの立ち上がり方も穏やかなので扱いやすい。

270°クランクは加速中のパルス感が非常に心地よい。不快な振動はまったくない。

おいしいところは3000~6000回転くらい。この辺りがアクセルに対してダイレクトに車速が乗る領域。それ以上の高回転も問題なく回るがあんまりトルク感はなく、やや惰性で回っている印象。レッドゾーンは8000回転から。

エンジンのモードがアーバン、ツアー、グラベル、オフロードと4つあるんだけど、正直あんまり違いが分からなかった。ホンダの資料によるとアーバンが一番穏やかでツアー、グラベル、オフロード の順にアクセルレスポンスが良くなるようだが、むしろ開け始めのツキはアーバンが最も良かった気がする。

一応クルコンがついているのだが、アイサイトみたいに前車に追従してくれるわけではなく一定の速度で走るだけなので、あまり役に立たない機能かもしれない。スイッチ類も操作しにくいし。

ひとつ気になったのはアクセル全閉からほんの僅か開けた辺りをキープしにくいこと。自分では動かしたつもりがない程度にアクセルがちょっと閉じる方向に動いただけで強いエンブレがかかってしまう。そのため市街地をゆっくり2速で走っている時などにギクシャクしてしまうことがある。まあ半クラ当てて調整すればいいんだけど。DCT仕様ならこうした煩わしさからも解放されるのだろうが。

 

ハンドリング

フロント21インチが生み出すゆったりとした切れ込み感皆無の舵角のつき方がいい。普段4気筒のリッターバイクに乗ってたりするとフロントの接地感だったり舵角のつき方に違和感があるかもしれないけど、個人的には公道ではこのくらいの穏やかなハンドリングがいいと思う。寝かし込みはゆったりしているが重いという感じではない。とにかく全般的に安心感がある。舵角が積極的につくタイプではないので必然的にバンク角は深くなりがちだが、深く寝かせても恐怖心はない。その深く寝かせた状態からトラクションをかけて立ち上がるのが最高に気持ちいい。前述したとおり上体をやや起こしてリーンアウト気味にするとしっかりとリアタイヤに荷重がかけられる。オフ車的に股下で車体をコントロールするような乗り方が似合う。

 

直進安定性は抜群で西湘バイパスで強い横風を受けてもびくともしなかった。

ちなみに高めのスクリーンのおかげで高速域では首から下はほぼ無風。しかしその分頭部に風が集中する感じで、ヘルメットが小刻みに揺さぶられるような感じがある。伏せてスクリーンの中にヘルメットを入れてしまえばほぼ風の抵抗は感じなくなる。

 

サスは前後ともオフロード走行を意識してるため、かなりストロークが大きいが、ダンパーがしっかり効いているのでフワつきは皆無。値段に見合った上質なサスである。ブレーキとアクセルによるピッチングモーションを利用し、リズムに乗ってコーナーリングするのが楽しい。

 

ブレーキはさほど強力というわけではないが、サスの動きの良さとあいまって素晴らしくコントロールがしやすい。こんなふうにブレーキングが楽しいバイクはそうはない。

 

フロント21インチは同クラスの19インチや17インチのアドベンチャーと比べて明らかにオフでの走破性を意識していると思われる。今回はレンタルバイクなのでダートは走らなかったけど、他社のアドベンチャーがオフは通過する程度だとしたら、CRFは多分そこそこ攻めることができると思う。そう思わせるくらい車体のバランスがいい。ダートで軽く寝かせた状態からアクセルを開けて、トルクに任せてリアを流しながら走ったらさぞかし気持ちいいだろう。

 

まとめ

良くできているとしか言いようがない。公道で楽しむうえで必要な要素を全て持っていると言っても過言ではない。

しかし残念なのはとにかく値段が高いこと。ホンダのフラッグシップとも言えるモデルだから当然と言えば当然だが、一番安いグレードで160万円くらい、一番高いと200万円超えは庶民にはそうそう手が出せない。僕が乗ってる車が新車で買えちゃうからね。ベースの車体が非常にいいから、ABS以外の電子制御を取っ払った廉価版みたいなの出してくれんかな(まあそれでも手が出ないだろうが)。

ディテール

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精悍な面構え。ウインカーにはホンダの良心であるポジション灯つき。多少は被視認性の向上につながってるはず。

 

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やたらとスイッチの多いハンドル左側。一通り説明を受けたけど全く覚えられなかった。

 

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写りが悪くて申し訳ないが、多機能なメーター。情報量がすごい。

 

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小ぶりだけど後方視界の良いミラー。

 

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USB電源の取り出し口。反対側にはシガーソケットもある。

 

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シフトペグはオフロードでの転倒を考慮して可倒式。ステップのラバーは取り外し可能で、オフロードブーツでのライディングに対応。

 

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クルコンのスイッチ。グレーの丸いスイッチを押すとスタンバイ状態になり、隣のレバーを下に押すとクルコンオンで、その時の速度で巡航する。巡航速度はレバーを上に押すたび1キロずつ上がり、下に押すたび1キロずつ下がる。アクセルを開けても増速するが、そこからアクセルを戻しても減速はしない。なのでアイサイトみたいに巡航していて前の車に追いついた時にアクセル開けて追い越し、アクセル戻して元の速度で巡航ということができない。

 

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セルスイッチは最近流行りのワンプッシュタイプ。

 

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リアのプリロードはダイヤルで簡単に調整可能。

 

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ファンクションスイッチ。スマホと連動すると色々なことができるらしい。

 

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オフロード 走行を意識してアンダーガード装備。

 

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フロント周りはかなりボリュームがある。普段MT-07に乗ってることもあり最初はちょっと気になった。

 

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タンクは18ℓ。ニーグリップしやすい形状。

 

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剛性が高いがしなやかに動くフロントサス。