バイクインプレ日記

YZF-R7(2022)インプレ〜令和のツイスティロード最強〜

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前から気になってたMT-07ベースのSS。その走りは如何に。

 

 

乗ったシチュエーション

ヤマハのレンタルバイクで4時間試乗。ワインディングが7割、市街地が3割くらい。気温17℃くらいでタイヤの温まりは悪くなかった。

 

ポジション 取り回し

かなりの前傾姿勢。ハンドルが低いこともあるが、垂れ角が大きいことの影響が大きい。最近乗ったバイクではホーク11が割と前傾姿勢だったが、ホークはハンドル垂れ角が少ないのでそこまで辛くはなかった。ただR7はタンクの前後長が短く、シートとハンドルの位置が近いのは救い。ハンドルが近いおかげで乗車位置の自由度も高い。

それとMTと比べるとタンクの太ももに対するフィット感がいいのもGOODポイント。

 

実際に走ってみると予想通り市街地ではかなりの辛抱を強いられる。工事渋滞にはまる場面があったのだが、手首が痛くなってしまい、停車するたびにハンドルから手を離して休憩を入れる必要があった。

 

逆にワインディングではこの前傾姿勢が効いてきて、バイクとの高い一体感が得られる。アウト側の肘でタンクをホールドすることができるのも好印象。

久々にハンドルの低いバイクに乗ったので、アイポイントの低さから路面が近く感じて、それが少々怖かったが慣れればむしろメリットになりそうだ。

 

足つきは身長180センチでシートの前寄りに座ると両足裏が全部着く。ただ膝にはそこまで余裕はない感じ。ベースとなったMTとほぼ変わらないくらい。

 

取り回しは、冒頭の写真を撮るため砂利道で押し引きしたのだが、車重が軽いためかなり楽。ハンドルが低いことも特に影響ない。以前に同じ場所でムルティストラーダを取り回したのだが、それと比べると半分くらいの重さに感じた。

 

エンジン

ベースとなったMT-07と比べると3000回転以下の粘りがある。自分のMT(初期型)はECUを書き換えてあってノーマルよりは低速での粘りがあるんだが、それよりもさらに粘る。1速2000回転以下でもさほどギクシャクすることなく走れたのには驚いた。

またそうした低回転での振動もMTより僅かに小さい気がした。

3000回転以上はMTとさほど変わらない印象。ワインディングで回転が多少落ちてもアクセルについてくる余裕と、上まで回しても怖くない、手のうちに収まる扱いやすさがそのまま踏襲されている。

今回椿ラインも走ったのだが、上りでも流すレベルならほぼ3速固定で走り切ることができた。

 

ハンドリング 車体

乗って最初に感じるのはフロントの接地感の高さ。MTの軽さもいいがそれなりにスポーティーに走ろうとするとちょっとフロントが軽すぎる感じがする。その辺がいい按配にリセッティングされている。

とは言えMTの乗りやすさは踏襲されていて、軽さの中にもほどほどに手応えのある寝かし込みや、寝かした際のちょうどいいフロントの切れ方など扱いやすさはそのまま。扱いやすさそのままに少しスポーティーに振った感じと言えばいいだろうか。

接地感が高くある程度寝かし込みに手応えがあるので、初見のバイクでありながらワインディングで膝が擦れるのではないかと思うほど安心感がある。

ただそれなりに速度の乗るコーナーの切り返しなどは割と重い感じがある。このあたりはあえてヒラヒラ、パタパタとはならないようにセッティングしてあるんだろう。想定している速度域が公道で楽しめるようにやや低めなんだと思う。

 

前後サスの動きは特筆して上質というわけではないのだが、前述したようにフロントはとても接地感が高い。リアもMTに比べるとはるかに動きが分かりやすい。この辺はブリヂストンのS22というタイヤの特性もあるだろう。

 

ブレーキはこれまたフロントが秀逸で、コーナー進入時のフロントの面圧を右手で自由自在に操れるようだ。YSPの店員さんは、ちょっと効力の立ち上がりが唐突ではないかというようなことを言っていたが、十分にコントロールしやすいと思う。リアはMTと同じものではないかと思われるが、タイヤとサスセッティングが違うためか、MTよりやはりコントロールしやすい印象だった。

 

まとめ

一言で言うと公道における理想的なスポーツバイク。

YZF-R1は今でこそサーキットでの最速を追求したバイクだが、初代は「ツイスティロード最強」を謳っていた。この「最速」ではなく「最強」というのがミソで、速く走るだけではなく、ワインディングで乗って楽しいを追求したバイクだったのだ(だからサーキットではフレーム剛性が全然足らなかった)。ただ乗りこなすのはそれなりに難しく、ブレーキやアクセルで前後の荷重配分をコントロールしなければうまく曲がれなかった。また市街地などの極低速でハンドルが切れ込むなど扱いにくさもあった。

YZF-R7は初代R1のそうした遺伝子を遺しつつ扱いやすさも兼ね備えた、さしずめ「令和のツイスティロード最強」といったところか。25年分の進化を感じる完成度の高さだ。スポーツ志向を持つユーザーであれば幅広くお勧めできるバイクである(ただハンドルだけはもうちょっと高くしてほしいな)。

 

ディテール

秀逸なフロントブレーキ

 

イニシャルとダンパーが調整できるフロントフォーク。ダンパーは右で伸び側、左で圧側を調整できる。

ステップ位置はMTよりかなり高くて後ろ。

 

左右スイッチは普通だが、MTよりはかなり高級感がある。

ブレンボ製のラジアルマスターシリンダー。フロントブレーキのコントロール性に大きく貢献している。

 

シンプルで見やすいメーター。

 

タンデムシート下にスペースはほぼない。ETCがあったのだがフレームのようなパーツを外さないとカードの抜き差しができないとのこと。

 

レギュレーターが左サイドカウルの内側にある。スペースを確保するのに苦労した様子がうかがえる。