バイクインプレ日記

XSR900(2020)インプレ

 

乗ったシチュエーション

いつものレンタル819南箱根店で1時間レンタル。ワインディング中心に試乗。

気温は14℃で走り始めは少し気を使ったがすぐにタイヤは温まった。

 

ポジション 取り回し

普通に座ると内股にフィットするタンクが非常に好印象。最近のバイクはデザインの問題なのか、前側が幅が広くて手前が絞られてるものが多いので、ニーグリップしようにも膝しかタンクに接しないことが多いんだけど、このバイクは膝から脚の付け根までピタッとフィットする。ニーグリップしやすいから身体の余計なところに力が入らないので疲れにくい。

ハンドル位置はごく普通のネイキッドといった感じだけど、ステップ位置はMT-09同様低めで後ろ目。個人的にはもう少し高い方が好みかも。ハンドル幅が普段乗ってるMT07(2015)と比べるとけっこう幅広だが、このくらいの方がコントロールがしやすくていいと思う。

シートは腰があってリアタイヤに荷重をかけやすい。路面からのフィードバックも良好。多少の前下がりはあるが、ブレーキングのたびにお尻が前にずれちゃうほどではなく、全然許容範囲。

 

足つきは身長180cmで両足裏がついて膝がほんのちょっと曲がるくらい。このクラスとしては特別良くもないけど悪くもないといったところか。

 

取り回しは軽いけど、最近のバイクはどれも軽いから今時としては普通くらいか。ただハンドルが高い位置にあるので力は入れやすいと思う。

 

エンジン

同年式のMT-09と比べるとかなり穏やかというか普通な印象をうける。MT-09ではモードがSTDでもピックアップが良すぎて、Aモードなんかサーキットでも扱いきれないんじゃないかと思ったほどだが、XSRはその点STDならごく普通に楽しく走れるし、なんならAモードでも腕があれば公道で使えないこともないといった具合に調教されている。それでもパワフルなエンジンなので最も穏やかなBモードであっても街中で走るには十分な力を発揮する。MT-09と比べて全体的にとても扱いやすくなっている。

そして低回転から高回転までとにかくスムーズに回る。低回転では2000回転以下でもノンスナッチで走れるし、高回転は8000回転くらいまでしか回せなかったけどスムーズに吹け上がる。普段乗ってるMT-07だと4000~6000回転くらいはトルクが乗って気持ちいいんだけど、高回転になるとちょっと惰性で回ってる感じがあるのに対して、このエンジンは下から上までフラットにトルクが出ている感じがする。

 

振動は気になるものはほとんどない。6000回転くらいでちょっとミラーがぶれるかなというのはあったけど、ステップ、シート、ハンドルといった身体に接触する部分には不快な振動は全く感じなかった。

 

音は4気筒をもう少し野太くしたような感じ。2気筒のパルス感を伴ったものとは明確に違う連続した音。ほどほどの音量でなかなか耳障りがいい。

 

ハンドリング 車体

MT-09がちょっとフロントが動きすぎかなと感じたのに対してXSRは良い意味で普通になっている。とにかくニュートラルなハンドリングで落ち着きがある。ゆっくり走っても飛ばしても楽しい。

4気筒ほどフロントヘビーではないのに接地感はしっかりある。その辺の塩梅が絶妙。

寝かし込みはほどほどに手応えがあるから安心して体をあずけることができる。

寝かした時の舵角のつき方がちょうどいいから攻めた走りからUターンまで自在にこなせる。そのバイクが乗りやすいかどうかは、個人的にはUターンすればだいたい分かると思ってるんだけど、今まで乗ったバイクの中で最もUターンしやすかった一台かもしれない。

前述したようにタンクが内股によくフィットするからリーンウィズでもバイクをコントロールしやすい。

あんまりにもコントロールしやすいから、あえて40キロくらいしか出せないような見通しの悪い舗装林道も走ってみたんだけど、そういうところでも持て余すことなく楽しむことができた。本当に良くできたハンドリングだ。

 

MT-09はオフ車みたいによく動くサスが特徴的だったけど、XSRはこれも良い意味で普通のネイキッドといった印象。40キロ以下くらいで走ってるときはちょっとゴツゴツしてるかなと思ったけど、もう少しスピードを上げると非常にうまくショックを吸収してくれる。いつも走る試乗コースは路面が荒れたところがあって、そこでサスの動きを確認するんだけど、今まで乗ったバイクの中では最もいい感じでギャップをいなしてくれた。

 

ブレーキは効きはいいんだけど、コントロール性は今一つ。ただこれは一番近くに調整しても遠すぎるレバーによるところが大きいと思う。思えばMT-07もノーマルではそうだった。レバーを変えればそれだけでかなりフィーリングは変わると思う。それでもZ900RSとかカタナにはちょっと及ばないかな。

 

まとめ

最初はMT-09とそんなに違わないだろうとあんまり期待してなかったんだけど、全く別物だった。サス、エンジンのリセッティングとポジションの変更だけでここまで変わるかね。MT-09も悪いバイクじゃないけど、やっぱりこういうオーソドックスな方が個人的にはいいなあ。

今まで乗ってきたバイクで、楽しさで言うと1位がMT-07で2位がジクサーSF250、これは揺るがなかったんだが、今回XSR900に乗って、ジクサーは確実に超えた。MT-07と比べてもどっちか微妙だなという位置まで来てる。気軽さで言えばMT-07、エキサイティングさで言えばXSR900といったところか。どっちも捨て難いです。

 

ディテール

個人的に最も気に入ったポイントの一つがこのタンク。ニーグリップしやすいからリーンウィズで乗った時に非常にうまくバイクをコントロールできる。ハンドリングの良さの半分くらいはこのタンクのフィット感の良さからきてるんじゃないかと思うほど。

 

一番手前に調整しても遠すぎるブレーキレバー。もし買ったとしたら一番最初にカスタムするのはここ。

 

小ぶりなメーター。ちょっと小さすぎて見にくい。

 

同じく小ぶりなライト。個人的にはZ900RSとかSV650みたいな大きめのライトの方がかっこいいと思うんだが。

 

OW-01タイプのチェーン引きだが、スイングアームエンドに溶接痕がないのに注目。引き抜き材に削り出しのエンドを溶接しているのではなくスイングアーム全体が鋳造なのである。この技術は相当高度なものらしい。

 

このフレームも鋳造。

 

フロントブレーキはお得意のMOSキャリパーをラジアルマウント。

 

フロントサスはフルアジャスタブルだけど、ダンパーは右にしかない仕様なので、減衰力調整も右のみ(イニシャルは左右調整可)。

 

タイヤはフロントがロッソ2でリアがD214というチグハグな設定。だからこれやめてくれっていうのに、レンタル819さん。とはいえこんな設定でもあれだけハンドリングがいいんだから、タイヤにあまり影響されないのかもしれない。

 

個人的に一番好きになれないのがこのコーギーの尻尾みたいなテールランプ。クラシック感を出したいのかもしれんが、あざとすぎる。バイクのキャラにも合ってない。