乗ったシチュエーション
レンタル819南箱根店でレンタル。大小さまざまなコーナーのワインディングで1時間試乗。気温は12~14℃でやや低めだったが、走り始めからタイヤのグリップは良好だった。
ポジション
ロー&ロングのスタイルから昔のカタナ1100みたいにハンドルが遠いのかと思ったが予想よりはるかにコンパクト。高さも極端に低いわけではなく市街地でも1時間くらいならなんとか許容できる程度。
ステップ位置は最近のバイクにしては高めで後ろめ。最近のバイクはSSでもステップは比較的前方かつ下方にあるものが多いが、個人的にはハンドルとの位置関係で言えばこのくらいが好み。
タンクの形状はぱっと見より前方が張り出ていて、普通にシートに座ってニーグリップすると膝しかタンクに接しない。ここはもう少し前方を絞って内股全体にフィットするようにしてほしかった。
足つきはシートの前方に座れば身長180cmで両足裏全体が着くが膝に余裕があるほどではない。特別足つきが良いわけではないだろう。
ちょっと困ったのは跨った状態でサイドスタンドを出そうとすると足がステップにぶつかってしまうこと。降りてからスタンドをかけるという方法もないではないが、足つきが厳しい人にとってはそれも難しいだろう。ここはもう少しどうにかしてほしかった。
エンジン
どの回転域でもフラットにトルクが出て、なおかつアクセルに対するツキも良すぎないので非常に扱いやすい。
高回転まで淀みなく回るが、一番気持ちいいのは4000~6000回転くらい。アクセルを開けた分だけリアタイヤが路面を蹴っ飛ばすといった感じでツインらしさが最も味わえる。
クセのないエンジンではあるが、あえて粗を探すとすると2000回転くらいで速度一定に保つのがやや難しいところか。アクセル開度を一定にしているつもりでもわずかにアクセルが動くとツインらしい強めのエンブレがかかったり、逆にトルクがドンと出てギクシャクすることがないわけではない。ただ大型二輪の免許を持っている人であれば一日乗っていれば慣れるレベルである。
サウンドは270°クランクらしい歯切れのいいものだが、ややバサバサした感じがある。
ハンドリング 車体
極めてニュートラルなハンドリングが印象的。どんな速度域でも、上りでも下りでもコーナーの大小に関わらずフロントの動きが常に一定している。ハンドルが切れ込み過ぎるでもなく、切れなさ過ぎて車体が寝過ぎてしまうでもなく非常に扱いやすい。このフロントの動きのニュートラルさは近年乗ったバイクの中で間違いなくナンバーワンである。
寝かし込みは割と手応えがある感じだが鈍重というわけではない。そして寝かし込めばすぐに車体は向きを変えてくれる。
寝かしてからアクセルを開けての2次旋回はさほどグイグイ曲がっていくわけではないが、長めのホイールベースが奏功してか、前後タイヤがビシッと整列している感じですばらしく安心感がある。
腰をずらしたハングオフ姿勢のみでなく、リーンウィズで遅い車の後を走ってもコーナーリングを楽しむことができる。これは公道においては理想的なハンドリングではないだろうか。
サスは前後とも比較的柔らかめで乗り心地が良い。個人的にはもう少しダンパーを効かせて、リアのプリロードもかけた方が良いような気がするが、その辺は個人の好みで調整すればよい。
ブレーキは、効きは特別強力ではないものの、コントロールが抜群にしやすい。ラジアルマウントのキャリパーとラジアルマスターの恩恵だろう。特にフロントブレーキのコントロールがしやすいので、コーナー進入時のフロント荷重の調整が非常に行いやすい。
まとめ
HAWK11は「速くない、でも少し速い」というどこぞの調味料みたいなコンセプトで開発した「大人の上がりのバイク」だそうである。上がりのバイクかどうかは分からないが、確かに自分のように「しゃかりきに速く走るのはもう望まないけど、操る感動を公道でも味わいたい」と感じているアラフィフには最適解かもしれない。いや、年齢は関係ないな。サーキットではなく公道で走りを楽しみたいと思う人なら誰にでもお勧めできるバイクだ。もしも今100万円をポンと渡されてどれか一台バイクを選べと言われたらこれを選ぶかもしれない。
最近の大型バイクは海外(主にヨーロッパ)がメインの市場で、バイクの設計においても日本の道路事情にあまり合ってないのではないかと思うものも少なくないが、このバイクは日本市場のみでの展開であり、まさに日本の道路事情にフィットした車体設計になっている。1200台限定とのことなので、もし気になっているなら買ってしまって損はないと思う。
ディテール
ショーワ製のフロントフォーク。柔らかめだが動きは良い。
シートはフラットでお尻が前にずれてこない。座面の面積は大型バイクとしてはやや小さめで、普通に座ると左右の座骨がシートの端にきてしまう。
アフリカツインと共通のエンジン。セッティングも変えていないらしい。
コントロール性が抜群のフロントブレーキ。
マスターはラジアルタイプ。
リアサスはダイヤルでイニシャル調整ができる。
ミラーは意外と見やすい。
メーターは小さめだがちょっと情報量多め。
スイングアームのチェーン引きはOW-01タイプだが、別バーツを溶接するのではなくスイングアームと一体成型。
アフリカツイン同様スイッチでモード切り替えができる。モードはレイン、スタンダード、スポーツの3種類。