バイクインプレ日記

CBR250RR(2020)インプレ

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前から興味があった現代のCBR250RR。ホンダのマジがつまった250SSの実力はいかに。

 

 

 

乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて比較的速度の乗るワインディングを1時間試乗。気温は14℃とやや低めだが、僕の直前に乗っていた人がいるのでタイヤの温まりに問題なし。

 

ポジション 取り回し

かなり本気モードの前傾姿勢と聞いていたので、頸椎ヘルニア持ちが耐えられるかちょっと心配だったんだが、意外とそんなでもなかった。ハンドルは低いには低いが、比較的近めなので上体の前傾度はそこまででもない。街中でも十分使えるレベル。YZF-R25とそんなに変わらない。SV650Xの方がもっと前傾だった。

ステップの位置もさほど後ろではなく、膝の曲がりもそんなにきつくない。

80年代レプリカのような超戦闘的スタイルを想像していたのでちょっと拍子抜け。でも常識的に考えれば公道ではこの程度が限度だと思う。これ以上前傾が強まってアイポイントが下がると危険だろう。

シートは多少前下がりではあるものの座面形状自体はフラットでなおかつ面積も広いので荷重がかけやすく、ブレーキング時もお尻が前にずれてこない。これはいい。シートの前下がりが強いバイクはシッティングポイントが限定されちゃって自由に身体が動かせない。レースで使うバイクで前下がりのシートなんてないからね。

タンクは手前側が絞りこまれててお尻をずらしたハングオフの姿勢をとると内腿がピタッとフィットする。

 

足つきは身長180cmで両足裏がついてなおかつ両膝が少し曲がるくらい。かなり良好な足つき性だと思う。

 

取り回しはハンドルが低くまたタンクとハンドルの隙間が小さいので、フルロック状態で切り返したりするのはちょっと大変かも。とはいえ車重が軽いのでたかが知れてる。

 

エンジン

低回転から高回転までフラットにトルクが出るが、アクセルに対するツキがいいのは8000回転以上。そこからレッドゾーンが始まる14000回転まで2気筒らしからぬ吹け上がりを見せる。250cc2気筒最強の41馬力は伊達じゃない。とはいえやはり250cc故の限界はあって、峠の上りでは10000回転以上をキープしないと加速は鈍りがちだし、トラクションがかからないので旋回性も高まらない。そのためかなり忙しくシフトチェンジをする必要がある。

パルス感はあまり感じられず、高回転では4気筒のようなクオーンという高音が強調されたサウンドを奏でる。

吹け上がり方もサウンドもあまりツインらしくないが、バイクのキャラクターにはよく合ってると思う。

モードがコンフォート、スポーツ、スポーツ+と3種類あるんだけど、250cc程度の排気量じゃ正直さほど違いは感じられない。限界までパワー絞り出してるからね。コンフォートが多少ダルな反応かなというくらい。

不快な振動は全くない。高回転で多少ハンドルに振動があるかなという程度。とにかく高回転までスムーズに回る。

スリッパー&アシストクラッチがついてるのでシフトダウンの際にアクセルをあおらずに済む。結果としてスムーズにワインディングを走るのに貢献している。

 

ハンドリング 車体

なんか接地感がイマイチだなと思ったら前後ともバイアスのツーリングタイヤでしかも前後で銘柄違い。純正では前後ともラジアルのGPR300のはずなんだが。こういうのは商売でレンタルバイクやってるならちゃんとしてほしいよね。1時間のレンタル試乗する人は大方ちょっとバイクの味見したいっていう動機なんだろうから、バイクの乗り味を崩すようなことはしてほしくないものだ。まあバイアスの穏やかな舵角のつき方は嫌いじゃないけど、本来のハンドリングを知りたいよなあ。

そういうわけでハンドリングは参考程度だけど、低速でも高速でも適度に舵角がついて乗りやすい。SSらしくフロントにどっしりとした安定感がある。

寝かしこみは割と手応えがあり、思ったよりヒラヒラという感じではない。でもこのくらいの方が安心してバイクを寝かせられる。またコーナーのアプローチでブレーキを残し、リーンに合わせてブレーキを開放していくと今度はスパッと寝かしこめる。この辺はさすがSSである。

ハングオフスタイルで曲がるのが似合うけど、リーンウィズで車の後ろについてゆっくり曲がってもそこそこ楽しめる。

アクセルを開けるとまあまあ良好な二次旋回特性を見せるけど、ラジアルならもっとグイグイ曲がっていくのだろう。

 

サスペンションはかなりダンパーが効いているが、ゴツゴツした感じはない。ビギニングが良くて上質な動きをする。

 

ブレーキはコントロール性は非常に良いが、効きはごく普通。バイクのキャラクターからするともう少し強力に効いてもいいと思う。

 

まとめ

さすがにホンダが技術の粋をこらして作っただけのことはある。動力性能も運動性能も素晴らしい。デザインもいいし、各部の仕上げも上質。ただまあ80万超えの値段考えれば当然だよねとも思う。下手すりゃジクサー250が2台買える値段だからね。だからといってジクサーの2倍楽しいかと言われるとまあそんなことはないわけで、正直同じフルカウル250スポーツだったらジクサーSF250の方が楽しい(少なくとも公道では)。それで値段が半分ならまあそっち選ぶよね。フライバイワイヤとかエンジンモード切り替えとか余分なもん要らんから、その分値段がYZF-R25並だったらまだしも、この値段ならカワサキのZX-25Rの方が購買欲そそるよなあ。

今回は残念ながらホンダが後出しジャンケンに負けちゃった感じかな。いやまあセールス的にはそこそこ成功なんだけど、カワサキみたいに攻めの姿勢に出られなかったというか(ちなみにZXが登場した2020年はZXの販売台数が3098台、CBRが2423台、2021年はZXが4761台、CBRが2700台)。とはいえ250ccツインという制約の中でこれだけのものを作ったのはさすがではある。

 

ディテール

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試乗車はフロントがメッツラーのロードテック、リアがミシュランのパイロットストリートというチグハグな設定。多分バイクの持つポテンシャルをだいぶ殺しちゃってる。

 

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鋼管トラスフレームは高剛性だがそこまでガチガチではない。

 

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フロントブレーキは片押し2ポットキャリパー。もう少し効いてほしいかも。

 

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かっこいいフロントマスク。なんとなくエヴァ二号機に似てる気がする。ちなみにバックミラーの視界はイマイチ。

 

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写真だとよく分からないけど、ちゃんとリンク式のリアサス。

 

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スイングアームエンドは一見OW-01のようなタイプだが、別体パーツの溶接ではなく一体型の鋳造。

 

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なんか高級感のあるフォークキャップ。

 

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上体を伏せると、このタンク上面の窪んだところにちょうど胸がフィットする。