いわゆる1KT。ヤマハのバイクが好きになったのもこいつがきっかけ。
乗ったシチュエーション
1996年頃から1年間くらいと、2000年頃に半年くらい所有。2回目に買った個体は調子が悪くて、クランクケースからすぐにガラガラ音がして壊れてしまった。その頃はほとんど街乗りしかしてなくて、9割市街地、1割ワインディングといった使い方だった。
ポジション 取り回し
レプリカのはしりだけど、まだそんなに過激になってない頃で、前傾姿勢もさほどではない。その後に出たNSRとか現代のSSに比べれば全然楽。今のニンジャ250あたりと同じくらいだと思う。ただ今のバイクと比べるとタンクが長くてちょっとハンドルが遠い印象がある。
足つきは良好で、車体が細いこともあって180cmなら両足がべったりついて膝も曲がる。これも今の250スポーツと同じくらい。
車重は乾燥で126kgと軽いんだけど、今のマスの集中したバイクと比べちゃうと数字の割には重いと感じるかもしれない。この前バロンに置いてあったからちょっと起こしてみたらYZF-R25よりずっと重かった。
エンジン
YPVSのおかげで当時の2ストとしてはかなり低速トルクが太い(あくまで当時としては)。当時のレプリカってタコメーターに3000回転以下の表示がないのが多かったんだけど、こいつにはちゃんと0から目盛りがふってあった。これも低速トルクの太さの象徴だと思う。
5500~6000回転くらいでYPVSが開いてくるんだけど、YPVSが開ききるまではトルクの中だるみみたいになっちゃうので、そこを避けて回転数をキープするのが速く走るコツ。
YPVSが開ききっちゃえば2ストらしいカーンと抜けの良い吹け上がりになる。
ちなみに後継のR1-Zにもちょっと乗ったことあるけど、さすがに進化しているのか、YPVSの切り替えでのもたつきはほとんど感じなかった。
ハンドリング
これがこのバイクの最も優れたところ。とにかく乗りやすい。なんか雑誌の受け売りみたいな言い方になっちゃうけど、2ストらしく寝かし込みが軽いのに、安定感というか安心感がある。
そして寝かしていくに従ってフロントが絶妙に切れてくる。
人間の感性にフィットすることを目指すのがヤマハハンドリングらしいけど、まさにそんな感じ。しかもレプリカだからって街中での扱いやすさを犠牲にしてない、というか街中でも楽しい。
当時流行してたフロント16インチタイヤを採用しなかったのもこういうフィーリングを出したかったからだろう。TZR以降は他のメーカーもみんなフロント17インチを採用し始めたから、ヤマハの方向性は正しかったんだと思う。
後に、同時代にホンダから出てたNS250Fをレストアして、ワインディングとかサーキットを走ったんだけど、言われるほどフロント16インチのクセみたいなのは感じないものの、なんかこう、いまいちフロントの接地感がないっていうか、手応えなく寝てっちゃうっていうか、TZRと比べるとどうもフィードバックが希薄な気がした。
サスは今から思うとちょっと動きが渋い感じ(年式の経った中古だからってのもあるけど)はするけど、街乗りでも乗り心地は良かった。最初に書いたとおりほとんど街乗りにしか使わなかったから高荷重域でどうかは分からない。
ブレーキはマスターの径がでかすぎるのか、タッチはいいけどかなり握らないと効かなかった。320mmの大径ディスクに対向4ポッドキャリパーで構成としては十分なんだけどね。パッドを変えればけっこう違ったのかもしれない。
まとめ
本当に乗りやすくていいバイクだった。惜しむらくはほとんど街乗りにしか使わなかったこと。それでも十分楽しめるバイクだったけど、もっとワインディングに連れ出してやればよかった。