先日乗った同じフルカウル250であるジクサーSF250との比較も含めつつインプレ。
乗ったシチュエーション
レンタルバイクで1時間、箱根周辺のワインディングを試乗。気温30℃でタイヤの温まりに問題なし。
ポジション 取り回し
ハンドルがけっこう低め。ジクサーSF250と比べるとハンドルバー2本分くらい低いか。また絞り角や垂れ角も大きくかなり本気のスポーツモード。雑誌とかのインプレでは街乗りでも苦にならない程度の前傾とか言われてるが、個人的にはこれで街乗りはちょっときついな。まあリッターSSとか90年代レプリカに比べれば全然マシなんだけど。モデルチェンジ前の方が良かったな。
ステップの位置もジクサーと比べると高めで後。相当大きく腰をずらすようなハングオフスタイルをとってもアウト側の足でしっかり踏ん張れる。
タンク(正確にはタンクカバー)の形状が良くて普通に乗っててもハングオフしても太腿によくフィットする。でもジクサーの方がもっと良くフィットしたかな。
足つきはめっちゃいい。ジクサーよりいい。身長180cmで両足裏がべったり着いて、なおかつ膝が曲がる。最近のバイクはシートが高めなのが多いけど、こいつはなかなかフレンドリー。
取り回しはマスが集中しているのでとても軽い。
エンジン
下から上まで淀みなく良く回る。直4に近い印象。昔のVTなんかと比べればずっと軽い回り方をする。上の伸び切り感はシングルのジクサーよりさすがに一段上。トルクを上に振ってるのでツインでも低速でギクシャクしない。この辺も直4ぽい。サウンドもアイドリング以外はツインらしいパルス感はなくてこれまた直4ぽい。
3000回転以下は使えないが、ギア比の関係でそこを使うことはほぼないので問題なし。
下から上までフラットな出力なので明確なトルクの盛り上がりみたいなのは感じないんだけど、ある程度速く走るには8000回転以下はキープしたいところ。
ただ残念ながら絶対的なトルクは排気量なりで、なおかつ高回転で絞り出してるので登り坂ではどうしてもアクセルに対して一歩遅れてスピードが乗るような感じになりやすい。
ジクサーほどミッションがクロスしてないのでシフトアップの度に加速が鈍っちゃうから尚更。公道メインなら多少トップスピードを削っても、もう少しクロスミッションにしても良かったのではないだろうか。
クラッチ操作は軽くてミートポイントも分かりやすい。シフトダウンでかなりラフにクラッチをつないでもホッピングしたりしないので、スリッパークラッチが入ってるのかと思ったが、そういうわけではないらしい。クラッチ容量が大きいのかな。250でバックトルクが小さいっていうのもあるだろうけど。
MT-07もこのくらいクラッチ操作がやりやすいといいんだが。
ハンドリング 車体
ハンドリングは秀逸。寝かしこみは軽く、フロントの舵角のつきも極めて自然。高速コーナーでもアクセルをちょっと戻せばそれをきっかけにスッと軽く寝てくれる。それでいて低速コーナーでもふらつくことはない。
タイヤがバイアスなのでちょっと硬い感じはするけど、接地感は十分。同じサイズでラジアルに変えても面白いかもしれない。
ただ惜しむらくはやはりトルクの細さ。2速だとコーナーの途中で頭打ちだし、3速だとトルクがかからず良好な旋回性を発揮できないっていう場面がけっこうあった。
サスは適度な硬さで動きもいい。フロントの倒立フォークはやりすぎじゃないかと思ったんだけど、意外にもしなやか。後日インプレするけど、同日に乗った旧型MT-03の正立フォークよりもしなやかに感じた。カートリッジ式になったのが効いてると思う。それとトップブリッジを肉抜きして適度に剛性を落としているらしい。
僕のMT-07よりはるかにいい動きのサスだ。
ブレーキはタッチはややソリッドなもののコントロール性はいい。効きはもうちょっとだけ強くてもいいかなと感じた。
その他
R1、R6と同様にMダクトを設けてレーシーイメージを出したとのことだが、個人的にはちょっと間が抜けて見える。前モデルの方が良かったな。
2014 Yamaha R25 product video with Valentino Rossi- Nieuwsmotor.nl
こんな風に完全にレーサー化してライトをなくすとかっこいいんだけど。
まとめ
非常によくできたバイクだが、250という排気量ゆえのトルクの細さが惜しい。まあ平地とか下り坂なら問題ないんだけど。それと今回のモデルチェンジはサーキットも視野に入れたらしいけど、そこはキープコンセプトで公道での楽しみを追求してほしかった。CBR250RRが豪華装備で思いっきりスポーティーな方向に振ってきたからそれに対抗したんだろうけど、90年代の先鋭化したレプリカがユーザー離れを起こし、ひいてはライダー人口の減少を招いたようなことにはならないでほしい。