バイクインプレ日記

MT-09(2019)インプレ

f:id:tomatoimp:20191204123659j:image

f:id:tomatoimp:20191203123226j:image

乗ったシチュエーション

レンタルバイクにて約1時間、椿ラインとターンパイク(箱根伊豆連絡線)、箱根新道といういつものコースで試乗。気温は4℃と低く、タイヤのグリップはあまり良くない状態だった。

 

取り回し ポジション

ハンドルはかなり幅広で近い。ステップ位置は低めでけっこう後ろ気味。モタードをコンセプトに取り入れたとのことだが、確かにそんな感じ。最初跨った時はちょっと違和感を感じたが、ワインディングでは非常にコントロールがしやすかった。タンクの形状も良くて太もものフィット感がいい。最近のヤマハはタンクの形状がみんないいね。シートが硬めで長距離は厳しいかもしれないけど、荷重がしやすいし車体からのフィードバックが得やすいので個人的には好み。

足つきは、シートが前方に行くに従って絞られているのでかなり良好。同じ日に乗ったVストローム250と同じくらい。

車重が軽いうえにマスが集中しているので跨って揺すってみてもかなり軽い。MT-07よりはちょっと重いけど、これまたVストローム250と同じかむしろ軽いくらい。押し引きもタンクとシートの間のくびれが体にフィットすることもあって250並。

 

エンジン

低速から粘りがあり、2000回転も回していればアクセルに十分ついてくる。本領発揮は5000回転くらいからで、そこから大きくアクセルを開ければ猛烈に加速する。

モードA、STD、BとありモードAが最も過激でモードBが一番おとなしめ。モードBとSTDはそんなに変わらない印象だったが、モードAのレスポンスは凄まじく、ちょっと大袈裟に言えば路面のギャップで僅かに右手が動いただけでもドンと前に出る感じ。公道で使い切れる自信は全くない。体感的には今まで乗った全てのバイクの中で最も過激だった。

そういうエンジンだからゆっくりトロトロ走るのは苦手かと言えば意外とそうでもなくて、モードBかSTDであれば40キロくらいで車の後ろをついていってもそんなに退屈ではない。ほぼ同じエンジンのNIKENの時は一定の速度で走るのには向いてないなと感じたのに不思議だ。こっちの方がレスポンスがいいのに。

 

ハンドリング

今まで乗ったバイクの中で1、2を争うほど楽しいハンドリングだった。

寝かした時の舵角はけっこう明確につく方だが、切れ込むわけではなく、Uターンのような小旋回でも、イン側の手で押さないとバランスが取れないようなことはない。個人的にはあんまり舵角がつかない方が好みなのだが、このバイクは例外。寝かした時のハンドルの切れてくる早さ、切れる角度が絶妙なので、腰で意のままにハンドルを操れる感じなのだ。

また寝かし込みも軽い。軽いといっても不安定な感じは一切なく、安定感がベースにある上での軽さ。この感触は名車と言われた'90NSR250にどこか通ずるものがある。雑誌等のインプレでは400ccなみの軽さなんて評されるけど、400cc4気筒ネイキッドよりは明らかに軽い。かつてのCBR400RR等の400レプリカと同じくらいではないだろうか(もう乗ったことのある人はほとんどいないだろうが)。

剛性の高そうなアルミフレームと倒立フォークは、兄弟車のMT-07と比べるとやや硬さを感じさせ、個人的な好みで言うともう少し柔らかくてもいいかなと思わなくもないが、この硬さがハンドリングのダイレクト感につながってるのだろうし、SSに比べればずっとしなやかだ。

サスは初代はオフ車のように動くなんて言われてたけど、現行モデルはそこまでではない。確かにリアは割とよく動くかなと思うけど、フロントはネイキッドとしてはごく普通の硬さだと思う。アクセルのオン・オフでピッチングが大きすぎることもなく、荷重コントロールがしやすい。

今回は椿ラインを上り下りしたが、こういう先の見通しが悪く、細かいカーブが多い道はこのバイクが最も得意とするステージだろう。大袈裟なハングオフをしなくとも、拳一つ程度身体をオフセットして体重移動すればスイスイ曲がってくれるのだから。ほとんどの人にとってSSよりも速く走れるはずだ。ストロークの長い脚は荒れた路面でもよく追従してくれるので、初見ならなおさらである。

 

まとめ

今、いろんなバイクを試乗してるのは次期購入バイク選定のためで、次に買うとしたら、もう歳だしまったりのんびり楽しめるやつがいいかな、なんて思ってSRなんかも試乗したりした。だからMT-09は購入候補というよりは、もののついでというか、オマケ程度のつもりで乗ったんだけど、価値観が変わった。やっぱりバイクにエキサイトメントは必要だ。まったり走るのも悪くないけど、僕の中にまだ高揚感を求める心があることに気づかされた。

それにしてもMT-09はネイキッドとモタードを融合させるという、同じカテゴリーに属するバイクがない唯一無二のバイクだと思う。このご時世にこういう創造的、革新的なことをやっちゃうヤマハ、すごいぜ。