バイクインプレ日記

RH975ナイトスター(2022)インプレ

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生まれて初めてハーレーに乗った。同日にヤマハのボルトも乗ったのでそれとの比較もしながらインプレ。

 

乗ったシチュエーション

バイカーズパラダイスでハーレーの試乗会やってたので試乗。バイカーズパラダイスから箱根エコパーキングまでの片道3キロ、時間にして往復15分程度の短距離での試乗だった。先導車がいてなおかつ道も混んでおり、速度は最高でも60km/hくらいしか出せなかった。気温は15℃くらい。直前に乗ってる人がいたのでタイヤの温まりに問題なし。

 

ポジション 取り回し

足つきはべったりだが同日に乗ったボルトよりは若干高いか。まあそれでも身長160cmあれば困らないだろう。

スタンドを払うために車体を起こすとボルトと比べてびっくりするくらい軽い。まあ車重が30kgくらい違うから当然か。ただハーレーは重いものと思っていたのでけっこう驚いた。

ハンドルは一般的なネイキッドと同程度の高さでやや幅広。バーエンドが少し下がり気味なのが独特。最近のZ900RSやカタナのようなネイキッドと比べるとやや遠目。ミラーがバーエンドに着くタイプなんだけど、ミラーステーが手に当たっちゃってちょっとアクセル操作がやりにくかった。まあ慣れの問題だと思うけど。

ステップの位置はボルトと同程度に前。高さはボルトよりやや高い。ハンドルが低いので、足は前で上体は前傾という「く」の字みたいな姿勢になる。最初この手のスタイルを見た時はなんておかしなポジションだと思ったけど、乗ってみるとそこまで違和感はない。でもやっぱりもう少し後ろのステップ位置の方がいいな。

シートはアメリカンらしくやや後ろ下がりだが、ボルトに比べるとちょっとフラット。前後方向にも多少動ける。またボルトよりやや硬くリアタイヤを感じやすい。

 

エンジン

ハーレーというと今にも止まるんじゃないかというような不整脈みたいなアイドリングと、傍目で見てもエンジンがブルブル震えているのが分かる振動が特徴だと思っていたけど、こいつのエンジンは本当にスムーズ。パルス感は伝えるけど今回試乗で使った回転域(タコメーターを見る余裕はなかったので正確には分からないが低中回転域と思われる)では振動はほぼ皆無。パルス感もドドッドドッっていうよりはルルルルっていう感じの本当にマイルドなもの。ハーレーという先入観を抜きにしても実にスムーズなエンジンだと思う。

クランクマスがかなり重そうな感じで、アクセルに対してビュンビュンレスポンスするというわけではないが、その分開け始めのドンつきなどがなくて非常に扱いやすい。開けても閉めても唐突なところが皆無。ボルト同様に15km/h以下程度の極低速でもエンストしそうになることもなく1速でも2速でも走れる。

ボア・ストローク比がかなりショートに振られているのだが、ショートストロークに重いクランクというセッティングがこうしたフィーリングを生んでいるのだろう。

ちなみにモードがレイン、ストリート、スポーツと3つあるらしいのだが、どこにセットされていたのかは分からない。

 

ハンドリング 車体

交差点を曲がる程度の極低速と大きなカーブをゆっくり曲がった程度での印象だが、とにかくフロントの動きが素直。ボルトはハンドルの内向性がやや強く、基本的に常に軽度押し舵気味だったが、ナイトスターはそういった感触は皆無。それはどんな速度でも変化することがない。低めのハンドルにより、ボルトよりフロントの接地感が高い。

寝かしこみはフロント19インチということもあってそれなりに手応えがあるが、前述のフロントの動きの素直さもあって安心して身体を預けることができる。

ここからは個人的なライテク論なので少々抽象的な話になるが、曲げる際に重心をイン側に移すだけでなく、いったん体幹を伸展させるような動きで重心を上に移動させ、寝かしこみと同時に上方に移動した重心を落としてシートに荷重するとリアタイヤにトラクションがかかりやすいのだが、その動きによく反応してくれるバイクは個人的には良いバイクだと思っている。ナイトスターはそうしたボディアクションに非常によく反応してくれる。これは気に入った。

 

サスは見た通りのスタイルなのでおそらくストロークは短い。にもかかわらず衝撃は非常によく吸収してくれる。驚いたのはエコパーキングのバンプを越える際まったく車体をゆすらなかったこと。極低速だったとはいえこれはすごい。

 

ブレーキはフロントが対向4ポッドに比較的大き目のディスクで十分な効き。日本のリッターネイキッド並みとはいかないが、この程度効けば十分。コントロールもしやすい。

 

まとめ

非常に面白かった。いままでハーレーというのは雰囲気を楽しむバイクだと思っていたのだが、少なくともナイトスターに関しては十分走りを楽しめるバイクだった。もちろん速く走ろうとすればネイキッドにはかなわないが、速く走らなくても楽しめるというのはストリートで楽しむことを想定すればある意味理想的ではないか。

このモデルは従来からのハーレーファンからすると賛否両論らしい。確かに振動やパルス感は小さく「味」という部分では物足りないのかもしれない。しかし従来のハーレーを知らない身からすると非常に完成度の高い普通のバイクだと感じた。