バイクインプレ日記

切れ込むハンドリング

サクッと対処法を知りたい方はこちら↓

 

 

はじめに

主には低速域でだけど、切れ込みの強いバイクは、日常域での扱いやすさを重視する僕としてはどうにも好きになれない。イン側の手で強く押さないとバランスしないようなバイクは単純に乗りにくい。片手でもUターン楽々くらいが個人的には好み。こういうの↓低速で切れ込むバイクじゃ絶対できないですよ。


こういう話をすると↓みたいに「下手だからセルフステアを活かせてない」とか「ハンドルが切れてくるのを活かして深く寝かさず曲がれ」みたいな筋違いな批判をする奴が湧いてくるわけだけど、

そういう連中にX-4で上の動画みたいなことできるのかよと小一時間(以下略)。ということで切れ込むハンドリングについてちょっと考えてみる。

 

切れ込むバイク具体例

今まで乗ったことのあるバイクで切れ込むヤツを具体的に言うと、まずX-4。今まで乗ったことのあるバイクでダントツNo.1の切れ込み。交差点ひとつ曲がるのも大変。

初代R1、FZS1000フェーザー、TRX850、初代Z1000も低速ではけっこう切れ込んでくる。

意外なところでは初代CB400SF(NC31)とVTスパーダ。これは当時の雑誌インプレで辻司さんとか宮崎敬一郎さんも言ってたから間違ってないと思う。

まあどれもアクセルを開ければニュートラルになるんだけど、寝かし込みの過程でハンドルに力を入れなきゃいけないってのは気持ちよくない。

あと、同じバイクでもコンディションによって全然違うこともある。例えば僕が乗ってるXJR1300は基本的には素直なハンドリングなんだけど、フロントタイヤが減ってくるとまあまあ切れ込んでくる。空気圧が低くても同様。0.2くらい低いとけっこう違う。気温が低かったりしてもダメ。タイヤの状態に影響されやすいバイクなんだと思う。こういうタイヤの状態にハンドリングが大きく左右される傾向は、車重が重くてタイヤが太いバイクほど顕著な気がする。いま通勤で使ってるカブなんか空気圧が半分でも、タイヤが減って台形になってもほとんどハンドリング変わらないからね。

f:id:tomatoimp:20191128230712j:plain

フロントタイヤが左のように摩耗してプロファイルが変わると、重いバイクは著しくハンドリングが変化する

切れ込まないバイクは?

逆に切れ込まないバイクはどんなバイクだろうか。フロントが大径、タイヤが細い、軽量、なバイクは経験的に比較的切れ込みが少ない。例えばオフ車。オフ車で切れ込んで困るってのはまずない。逆にオンロードで乗ると切れなさすぎてやや不自然に感じることはあるけど。オンロードバイクでもこの3つの条件を満たすほど切れ込まないバイクである可能性は高いと思う。

言い換えると、切れ込む、切れ込まないに大きく関与してくるのはフロント径、タイヤ幅、車重ってことになりそうだ。ただ似たような車体構成のバイクでも全然ハンドリングが異なることがあるから困る。例えばVストローム650とSV650くらい車体構成が違えば、Vストの方が切れ込む可能性は低いだろうって予想つくけど、初期型R1と’02R1じゃ車体構成を表す数値では殆ど差がない(少なくともフロントタイヤが17インチから18インチになったりはしてないわけで)にも関わらず、ハンドリングはびっくりするほど違う。同じような車体構成にも関わらずハンドリングが違うってことはカタログスペックじゃ判断しようがないのだ。

セッティングで対処できるか

さて、ハンドルが切れ込む場合、セッティングでどうにかなるのだろうか。経験的には多少は変わるけど、根本的にはそのバイクの元々持ってるキャラクターで決まっちゃうと思う。昔CB400SFに乗ってる時にハンドリングが気に入らなくて、XJR400みたいにしたいと思ってサスをWPに交換してセッティングしたり、タイヤを変えたりその他色々やってみたんだけどそんなには変わらなかった。

一応、セッティングのセオリーとしてはフロントを高くしてリアを低くするって方向になるんだろうけど、それが常に正解とも言えないのが難しいところ。例えば昔乗ってた’02R1は、フロントタイヤが減ってきて少し切れ込みが出てきたなと感じたときに、フロントのイニシャルを締めてやる(前上がりにする)と多少ごまかせた。ところが今乗ってるXJR1300で同じことをやるとかえって切れ込みが強まっちゃう。キャスター、トレールだけじゃなくて重心の位置とか色々な要素が絡み合ってそうなるんだろう。

それから乗り方によって対処する方法もあるとは思う。ハングオフみたいにイン側に身体をオフセットして乗れば、ハンドルが切れて起きようとする車体とバランスが取れるけど(ハンドルが切れるとバイクは起きようとする)、いちいち交差点曲がる度にハングオフってわけにもいかないだろう。うまい人だと切れ込んでくるのを活かして寝かさずクルッと回れるみたいだけど、それもバイク任せで曲がるみたいで個人的にはあまり好みじゃない。

 

まとめ

結局そのバイクが切れ込むかどうかは乗ってみないと分からないわけだ。雑誌等メディアのインプレも、ああいうのはだいたいメーカーからお金もらって書く宣伝みたいなものだからあんまり当てにならない。本当はそういう部分もしっかりレビューしてもらいたいんだけど。そういう意味では最近メーカーや販売店が試乗を積極的に行うようになったのはいい傾向だと思う。

とにもかくにもバイクのハンドリングは乗ってみなきゃ分からないので、もし購入を検討している車種があるならレンタルバイクなどでお金を払ってでも乗ってから決めることをお薦めする。

 

追記

ジムカーナーで人気がある車種はだいたい切れ込まず乗りやすいですね。あの競技は低速でのハンドリングが悪いとタイムが出ないから。ジムカーナーで人気のバイクを選べばハズレは少ないです。

追記2

続編を書いた。