先日こんな記事を読んだ。
一般的にはキャスター角が立つほどクイックに曲がる傾向になり、トレール量が増すとフロントの安定感が増す
「クイックに曲がる」って何だ?
「フロントの安定感が増す」ってどんな状態だ?
この記事はインプレじゃないけど、インプレ記事でもこんなようなあいまいな表現がすごく多い気がする。
「クイックに曲がる」っていうのはフロントの舵角のつき方が大きいのか、ハンドルが切れてくる速度が速いのか、寝かし込みが軽いのか、あるいはアクセルを開けて2次旋回に移行したときにグイグイ曲がるのか、いったいどんな現象を言ってるんだ?
「フロントの安定感が増す」って言うと接地感が高いことをイメージするけど、それだとキャスターの話からの流れだと適切じゃない。どっちかっていうとそれはサスとか重量分布の話だ。じゃあ舵角のつき方だろうか?それとも外乱に強いとか?
日本のメディアにおけるインプレ記事ってこういうあいまいな表現で適当にごまかして、なおかつほとんど提灯記事だから全然バイヤーズガイドとして役に立たないのよ。僕がブログでインプレを書き始めた動機も、既存メディアがあまりにひどいので、バイクの良し悪しをストレートに分かりやすく伝えたかったからなんだよな。忖度なく、ありのままをできる限り具体的に書く、それができなけりゃインプレ記事なんてただの広告じゃないか(まあ実際そうなんだろうが)。
最近はレンタルバイクも普及してきたから、買う前に乗って確かめることもできるけど、以前はそんなことできなかったから雑誌に乗せられて買って「こんなはずじゃなかった」なんてこともけっこうあったのよ。今でもちょっと古いバイクになるとレンタルのラインナップから外れちゃったりするからそうなると情報源はほぼメディアだけになるし。
自分がインプレを書く際にはとにかく具体的に書くことを心掛けてる。例えばハンドリングであれば
・寝かし込みの軽さ
・寝かした際の舵角のつき方
・アクセルを開けた時の曲がり方
くらいの相に分けてなるべく起こった現象をそのまま書く。
さらに、評価軸が定まっていればよりそのバイクのキャラクターが分かるので、同じカテゴリーで乗ったことがある車種があればそれと比較をしたりする。同じカテゴリーでなくても引き合いに出すこともある。なんの評価軸もないよりはマシだと思うから。
上記の方法で僕が今乗っているMT-07のハンドリングを箇条書きに表記すると以下のようになる。
・寝かし込みの軽さ⇒軽い
・寝かした際の舵角のつき方⇒かなり控えめ
・アクセルを開けた時の曲がり方⇒さほどグイグイ曲がるタイプではない
となる。
これに同カテゴリーの他車種との比較を入れると
・寝かし込みの軽さ(軽い順)⇒MT-07>ニンジャ650≧SV650X
・寝かした際の舵角のつき方(舵角が大きくつく順)⇒SV650X>ニンジャ650≧MT-07
・アクセルを開けた時の曲がり方(曲がる順)⇒SV650X>MT-07≧ニンジャ650
となる。
どうだろう?これだけ具体的な情報があればなんとなくそのバイクのイメージがつくんじゃないだろうか?
他車種との比較なんかはメディアでもやってるけど、やっぱり表現がフワッとしてるからあんまり意味ない感じなんだよな。
まあインプレっていうのは官能評価だからフワッとあいまいになっちゃうのは仕方ない部分もあるんだろうけど、具体的にできるところはなるべく具体的にしてほしいわ。
前述したとおり、日本のメディアに載るインプレ記事はバイヤーズガイドとしてはほとんど役に立たないので、バイクを購入する時は実際に乗ってみることを強くおススメする。もし信頼できるインプレを読みたいなら僕のブログを読んでいただくか(半分冗談、半分本気)、海外の記事を読むといい。海外はメーカーに忖度しないインプレ記事がけっこうあるから。今は機械翻訳もかなり優秀になってきてるから英語に苦手意識がある人でもさほど問題なく読めると思う。日本のメディアでも発売から数年すると「あのバイクのあの部分は不評だった」みたいなことがちょこっと書かれたりするんだけど、それあとから書かないで最初に言ってよ。
日本のモーターサイクルメディアの奮起を期待します。