バイクインプレ日記

ムルティストラーダ1260S(2019)インプレ

乗ったシチュエーション

レンタル819のタイムセールで安くなっていたので8時間レンタル。高速、峠、市街地とすべて走った。真夏なので走り出しからタイヤのグリップは最高。

 

ポジション 取り回し

跨っての第一印象はとにかくハンドル幅が広いということ。アドベンチャーとしては一般的な幅だろうが、普段乗ってるMT-07と比べると相当幅広な感じ。小柄な人にはちょっと広すぎるんじゃないだろうか。

ステップ位置はけっこう高くて、バックステップを入れてる僕のMT-07と変わらないくらい。積極的に身体を動かすには向いているが、身長180cmだともう少し低くてもいいかなという気はする。

シートは座面も広く、クッションも硬すぎず柔らかすぎずで、乗り心地がいいのに荷重もかけやすい。多少の前下がりはあるが、全然許容範囲。

タンクの形状が良くて、太もも全体がピタッとフィットするのもグッドポイントである。

 

足つき性は身長180cmで両足裏がついて少し膝が曲がる程度。まあそれなりの足つき性といったところ。シートが高いというより幅が広いのが影響していると思う。

 

取り回しは車重235kgにしては軽いとは言えるが、あくまでその車重にしてはということであり、絶対的な重さはそれなりに感じる。ただXJR1300とかCB1300SFみたいな4気筒ネイキッドよりは軽い。

 

エンジン

モードが「スポーツ」、「ツーリング」、「アーバン」、「エンデューロ」とあるのだが、時間の都合でエンデューロは試せなかった。

まずスポーツとツーリングについてだが、5000回転以下はどちらもあまり差がない。5000回転以上になるとスポーツはアクセルレスポンスがめちゃくちゃ鋭くて、正直な話、僕の腕では公道じゃまったく使いきれない。あまりにシビアで疲れてしまう。その点ツーリングであればまあなんとか使える程度にスポーティーで、ドゥカティのスポーツ性を僕程度の腕でもなんとか感じとれる。おそらく一般的には最も多用するのはこのツーリングモードだろう。

アーバンは全域にわたってアクセルレスポンスがかなりダルになっている。市街地では最も使いやすいが、開けると不自然にアクセルに対するツキが落とされているような印象であまり気持ちよくない。

以下は全てのモードに共通する点。

まず3000回転以下は使い物にならない。そうなると困るのが街中を走る時である。2速だと3000回転で約40km/h、4000回転で約60km/hなのでこれを使いたいところだが、レスポンスが良すぎて走りにくい。また4000回転を超えるとマフラーがけっこう勇ましい音を奏でてくれるのでそういった点でもせわしない。じゃあ3速ならどうかというと、3000回転で約60km/hなので、僅かでも速度が落ちると3000回転を割ってしまい、途端にトルクが薄くなってガクガクしてしまう。まあモードをアーバンにすれば2速でもさほど扱いにくさはないのだが、走りながらモードを切り替えるのは面倒くさいし、音がでかいのは変わらない。

それと5000回転を超えるとシート周りにかなり振動が出る。峠でガンガン走ってる時ならアドレナリンが出てさほど気にならないかもしれないが、淡々と走っているときにはちょっと不快。その点でもスポーティーに走る時以外は3000~5000回転という狭い領域を使わなくてはならない。ドゥカティはそういうものと言われればその通りなのかもしれないが・・・。

ちなみにギア比の話をすると、2速でも6000回転まで回すと90km/h近く出てしまう。峠をスポーティーに走る場合、常識的な範囲ならほぼ2速固定である。

あとクラッチが重いのも特に街中を走るうえではマイナスポイント。重いといっても最近のバイクがやたら軽いからそう感じるだけで、ひと昔前ならごく普通かむしろ軽いくらいなのだが。また油圧クラッチなのでワイヤー式に比べるとミートポイントが分かりにくい。走り始め一発目にエンストしたのをお店の人に見られたのは恥ずかしかった。

もっともクラッチに関してはアップ、ダウンともに対応したクイックシフター装備なので走り出してしまえばそんなに使わないで済む。ただシフトアップに関しては3000回転以上回ってないとかなり大きく車体を揺さぶることになる。

 

ハンドリング 車体

極低速ではフロントの内向性がやや強く、Uターンの際などはけっこうイン側の手で押すような形になるが、前述したとおりハンドル幅が広いのでさほど力を入れなくてもコントロールできる。40km/hくらい出してればニュートラルなハンドルの切れ方になる。

ドゥカティといえば決まった時のハンドリングは素晴らしいが、決まらないと全然曲がらない難しいバイクというイメージがあるが、ムルティストラーダに関してはそこまでの神経質さはない。ただ、ダラっと乗ってると操っているというより乗せられているような感覚がなんとなくあるのは確かである。ある程度エンジン回転を上げて、アクセルオンの時のトラクションも、オフの時のバックトルクもリアタイヤにしっかり伝え、ブレーキングでフロントに荷重を移して、ブレーキリリースに合わせてスパッと寝かせてやるとよく曲がる。なるほどこれがドゥカティなのかと思う瞬間である。そんなわけでリーンウィズで乗るより、ハングオフスタイルで腰を落とし、シートからしっかりリアに荷重する乗り方の方が楽しい。前述した高めのステップも効いてくる。前後タイヤの接地感も非常に高い。

しかしアドベンチャーというカテゴリーのバイクでそういう性格のハンドリングなのはどうなのかなと個人的にはちょっと思う。

 

サスペンションの動きはさすがの一言で僕の腕では素晴らしいしか出てこない。かなりピッチングが大きいにも関わらず不安感を抱くことは全くなく、むしろそのピッチングを生かして峠では楽しく走れる。けっこうな下り坂でのハードなブレーキングでもビタっと安定している。ふわついたところがないのに乗り心地も最高。セミアクティブサスは伊達じゃない。

ちなみにエンジンモードに合わせてサスのセッティングも変化する。個人的にはハンドリングに関してはスポーツモードが一番好みだった。ただ、モードによる違いはエンジンほどには大きくない印象だ。

また乗車前に一人で乗るのか、タンデムなのか、パニアを装着しているのか等のモードが選べる。

 

ブレーキは効きもコントロールも非常に優秀だが、たまたま僕の試乗した個体がそうだっただけかもしれないが、レバーの動きがやや渋いのが気になった。

 

まとめ

非常に高性能なバイクであることは間違いないが、エンジン、ハンドリングとも設定速度域が高すぎるのではないか。特にエンジンに関しては低速での粘りがあまりに足りない気がする。またハンドリングに関してもそういったエンジンの特性とあいまって楽しめる領域に達するとかなりのスピードが出てしまっている。楽しもうとペースを上げた結果、下のような目にも遭ってるし。

リッタークラスのアドベンチャーで僕が乗ったことがあるのは他にはCRF1100Lだが、あちらが常用域での扱いやすさが抜群だったのとは対照的である。まあ一口にアドベンチャーといっても、CRFがオフもかなり視野に入れた作りなのに対してムルティはオンロード色が強く、バイク自体の性格が異なるので単純に比較はできないが。


フェラーリランボルギーニのように走りに振りすぎて実用性ゼロみたいな車があるように、公道じゃとても楽しめないバイクがあってもいいと思うが、それらが与えてくれるのは走る楽しみじゃなくて所有する喜びじゃないだろうか。少なくとも公道しか走らないのであれば。そういう価値観を否定する気は全くないが、個人的にはバイクは走ってナンボだと思う。ムルティはそこまでスパルタンなバイクではないが、残念ながら僕の中ではちょっと及第点には及ばない感じだった。

 

ディテール

「MODE/ENTER」と書いてあるボタンでモードを選んだり、パネルの表示形式を変えたりする。サスセッティングやエンジンのセッティングなども細かく設定できる。

その右側にあるのはクルコンのスイッチ。正直あんまり必要ない。

下はウインカースイッチ。バンク角に反応するオートキャンセラーがついているのだが、あんまり感度が良くなくて結局スイッチで操作することがほとんどだった。

 

 

スクリーンは3段階に調整可能。高速道路で向かい風だと低い位置ではちょっと頭が揺さぶられる。高めにセットするとほぼ無風に近い状態になるが、夏場は暑くてたまらない。ただどの高さにセットしてもハングオフで曲がるとスクリーンの境目が視界に入るのがちょっと気になる

 

 

右側のスイッチ。一番下のスイッチがメインスイッチ。長押しでオン。エンジン始動は赤いキルスイッチを上にスライドさせてセルボタンを押す。ちなみにセルはワンプッシュ式ではなくオーソドックスなかかるまで押すタイプ。エンジンを切る際はキルスイッチを下にスライドさせる。エンジンが停止した状態でメインスイッチを長押しするとハンドルロックがかかる。

 

 

キーはリモコン式。いちいち鍵穴に挿さなくていいのは楽。タンクキャップを開ける際はボタンを押すと鍵が出てくるので、それで開ける。




ゴージャスなラジアルマウントのブレンボキャリパー。

 

 

 


けっこう音がでかいマフラー。

 

 

 


乗り心地のいいシート。形状も良い。

 

 

 


太ももによくフィットするタンク。

 

 

ステップラバーは取り外し可能でオフロードブーツで乗ることも一応考慮されている。

 

 

クラッチケースにつま先が当たるのが最初はちょっと気になった。