この前、現行CBR250RRをインプレしたので、旧CBR250RR(MC22)も記憶を頼りにインプレ。
乗ったシチュエーション
1997年にニフティサーブ(当時のネット掲示板みたいなもの)のバイク個人売買にて17万円で購入。半年ほど所有した。
ほとんど街乗りであとは峠がちょっと。
ポジション 取り回し
足つきはめちゃくちゃ良い。今のCBR250RRも悪くないがさらに良かった。80年代から90年代始めのバイクは重心が低ければ低いほど良いっていう設計思想があってこのバイクはその究極形みたいなもの。
それをよく表してるのがこのフレーム。LCGフレームというツインスパーの一部を曲げたようなフレームは、エンジンの懸架位置を下げることにより低重心を実現している。加えてバイク本体だけでなく人が乗った時の重心も下げるためにシッティングポジションもめちゃくちゃ低い。だから足つきもベタベタにいいわけ。最近のバイクがあえて重心を上げて旋回性を高めようとしてるのとは真逆だったわけだ。
ポジションはかなりコンパクトで身長180cmだとやや窮屈だった。ハンドルは現行のCBR250RRよりバー1本分くらい低かったと思う。ステップ位置は現行CBRよりやや高め。今の基準からするとけっこうレーシーなポジションだが、当時としてはこれでも楽な方だった。タンクは手前側にかなり絞られていて、腰をずらして乗ると内股がピタッとフィットするが、普通に乗ると膝頭しか接しない。今のCBRもそういう傾向ではあるが、昔の方がより顕著で、ハングオフ前提のタンク形状だった。
取り回しは車重は軽いんだけどハンドルが低いので車格にしてはちょっと大変だった記憶がある。
エンジン
超高回転型のエンジンがこのバイクの最大の魅力。レッドゾーンはなんと19000回転から!カワサキのZXR250も19000回転からレッドゾーンだったが、あっちは正直回るか回らないか微妙なとこだったんだけど、こいつは本当にそこまで回ってさらに上までいきそうなほどだった。
超高回転型だからといって低速トルクがないわけでもなく、街乗りくらいだったら7000回転くらいでシフトアップしていっても車の流れには十分乗れた。そうは言っても真価を発揮するのはやはり10000回転くらいから。できれば12000回転以上回したい。そこからレッドゾーンまではアクセルに対してリニアにレスポンスし、2ストにもひけを取らないんじゃないかと思うくらい速かった。
音もマフラーからの低音とカムギアトレインの高音が混ざって非常にレーシーだった。後のホーネットより低音が効いていた印象だった。
ハンドリング 車体
ハンドリングは極めて素直で、低重心ゆえに安定感も抜群だったんだけど、街乗り程度だとなんかこういまひとつ面白味に欠けるっていうか、ちょっと無味乾燥な感じだった。今思えばこれは、その程度の速度域じゃエンジンに対してフレーム剛性が高すぎて、フレームをしならせることができなかったからではないかと思う。峠でそこそこペースを上がると本領発揮で、前後タイヤがベタッと路面に張りついたように安定して曲がる。ここまで接地感が高いバイクは自分の乗ったバイクだと他には2002年式R1くらい。安定感があるのにリーンはとても軽い。
ちなみに安定感の高さとシッティングポジションの低さで膝擦りには最適だった。僕が最初に膝擦りしたのもこのマシン。
ブレーキは前後とも効きもコントロール性も抜群。
サスはやや柔らかめだったが、フレーム剛性が高いのでサスまで硬かったらちょっと乗りにくかったと思う。
まとめ
一言で言えば極めて完成度の高いバイク。250ccクラスでここまで完成度の高いバイク(速さだけじゃなく)は後にも先にも無いと思う。
しかしまあいつも同じことを言うようだが、これほどのバイクが60万円切ってたんだからね、信じられんよ。今のCBR250RRが安い方で821,700円と20万円以上、1.3倍くらい高いからね。排ガス規制に対応しなきゃならんとか開発環境の違いもあるから一概には比較できんとは言えだ、あまりにも高くなりすぎてる。まあその分給料も上がってればいいんだけどそうはなってないからなあ。
上のグラフは大卒初任給の推移なんだけど、このバイクが出たちょっと後、92年くらいから今日までは給料の伸びは極めて鈍くて19万円から21万円になったくらい。割合にして1.1倍。しかもその後の昇給もあんまり期待できないとなればバイクなんて買えないよね。で、売れないから価格が上がる→さらに手が届かなくなるという悪循環。250クラスなんてほぼ国内市場(最近は東南アジアもあるが)だから、市場規模が小さいのでなおさらその傾向が強い。250クラスはかつては若者の入門クラスだったんだが、今の若者はそもそもバイクなんて手が出ないわ。ヤバいぞ、この国。